医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

2021.05.25安易なマウスピース矯正への警鐘

マウスピースがものすごい勢いで増加している。
当院でも10年以上前からマウスピース矯正の先駆者たるインビザライン社(アメリカ)のものを使用している。
これを追従するような形で国内外の様々なメーカーが参入、良くできているものから、ゴミ同然のものまで。
しかし、これが大きな落とし穴。
そもそも矯正をなぜ行うのか?
審美改善目的?機能障害改善目的?
多くの患者さんの矯正へのとっかかりは審美目的であり、歯科医院側もそれにのみフォーカスを当てがちであるが、
これは大きな間違い。
複雑な咬合理論の説明は省くが、矯正治療の目的は、全ての歯牙が安全かつ安定して咬合し、顎関節、神経筋機構も安定している状態を作り出すことであり、審美が機能を絶対に優先はしない。
このことを患者さん自身はおろか歯科医自身も理解していないことがほとんど。
近隣に大きな大学があるためか、地元の歯科医院においてマウスピース矯正開始したものの、一度に全てのマウスピースを渡され、全部終ったら来てねなどと言われたが、全く治療がうまく進んでいないケースや、せっかく長い時間、コストかけて矯正治療行い、ぱっと見た目の歯並びは改善したものの上手く噛めないとの相談が結構ある。

要は歯科医が咬合理論を理解していないということ。

他にも他院において矯正治療希望され、治療始める前の虫歯治療を行ったものの粗末で不安を覚えられて当院に相談に来られたケースや、簡単な親知らずの抜歯もできなくて矯正治療勧められ不安を覚えて当院に相談に来られたケースなど多々ある。

また、マウスピース矯正は通常のブラケット、ワイヤー矯正の知識、スキルがない歯科医が行うべきものではなく、患者さんも「ブラケット、ワイヤー矯正に取って代わる簡単に矯正できるすばらしいシステム」と考えないほうが良い。
また、成人矯正の場合、矯正治療前の歯周病治療、親知らずの抜歯、根管治療、プロヴィジョナルクラウンの装着、インプラント治療、矯正治療終了後の補綴治療等、包括診療に移行のための一手段としての矯正治療を行う場合、多岐にわたる知識とスキルが必要。

当院でも全ての治療期間をマウスピース矯正(インビザライン)で行うのは半分もないと思う。

また、マウスピース矯正は患者さんの日々の自己管理に負うところが大きいので、性格的にいいかげんな方には全く向かない。
簡単に導入するものは簡単に脱落する。
安易なゴミ同然のマウスピース矯正など行わないほうがマシの場合も多い。
どこの歯科医院でも、患者さん都合で治療中止、中断しても治療費用の返金はできないです。

繰り返すが、マウスピース矯正は従来型の矯正に完全に取って代わるすばらしいシステムではないということをご理解いただきたい。