医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

2020.04.09ろう着

歯というものは正常でも、ある程度の動揺がある。
歯は顎骨に直接埋まっているのではなく、歯根膜という組織を介しているからである。
ましてや歯周病に罹患していると、もっと大きな動揺がある。
この部分を型採りし、歯牙を連結し、動揺を収束させるような補綴物を作製する場合、そのまま型採りを行うと、印象時に歯牙位置が微妙に変化し、そのまま補綴物を作製しても精度の高いものはできない。
そこで、1〜数本づつ型採りを行い、それぞれの部分の適合状態をマイクロスコープ下で確認し、問題なければ繋ぎ止める、その部分を「ろう着」(金属同士の溶接のようなもの)を行う。
写真はPFMBrであるが、口腔内で各歯牙のメタルコーピングの適合をチェックし、ろう着のインデックスを採得した状態。
歯科技工所でろう着を行い、再度適合状態のチェックを問題なければそのあとセラミックを築成してゆく。
当院の場合、精度を追求するため型採りして、次回には完成ということはない。
無論、治療期間がかかるので適合精度の高いプロヴィジョナルクラウン作製はマストである。
精度が出ないと、2次的虫歯になりやすい、補綴物の破損も起きやすい。

昨今、ジルコニアベースのオールセラミッククラウンも多数行っているが、ワンピースでCAD/CAMで削り出すようなものは、インプラント上部構造体はともかく、複数歯牙を連結するようなケースには前述の理由から向かない。
印象時に圧がかからない光学印象には可能性があるが、光学印象の精度自体がまだまだの感あるので今後の技術進歩に期待したい。
安易に「最先端」の治療に振り回されてはいけない。患者さんは無論、歯科医自身も。