2019.07.01安売りインプラント、セラミックにご注意

物、サービスには値段があり、ピンきり。
安いからダメ、高いからいいとは一概には言えないものの、ある程度の相関関係はある。
ブランド物の中には、スペック自体大した事無いのに看板料だけのボッタクリでも、巧妙なマーケティングで物の本質見極めらえない人々にただ単に皆が持っているからのとの理由で売れてるものが多々ある。
歯科でも同様だがもっと深刻。
歯科医もピンきりだけれど、何を隠そう患者さんの治療要求もピンきり。
物、サービスの質と値段に幅があることは、ユーザーの選択肢が広がるという観点からはいいことだ。
世の中に軽自動車しか販売されていなかったら、ポルシェやフェラーリしか販売されていなかったらそれは困るだろう。
物でもサービスでも選択に多様性があることはいいことだ。
歯科医院があふれるような今の時代だからこそ、それぞれの歯科医院がそれぞれの治療コンセプトを打ち出し（できもしない、いい加減でキレイ事が多いが。）、それに応じて患者さんも歯科医院を選択できるので、当然歯科医院としても「客層の階層化」が起きている。
ただ単に応急処置程度の治療を希望する人、「質」は二の次でコスト、スピード最優先の人、「質」が最優先の人、、、、、様々。

当然、私は「質」を最優先している。
当院の開院以来のスタンスとして、価格で他院と対抗しようとは全く思わないので、安価なインプラント、歯科治療材質質を用いたり、安くて早いだけがとりえの低い歯科技工士と組んで歯科治療サービスを安売りしようとは思わない。

コスト、スピードを優先したければ、そのような歯科医院を選択すればいいだけの話。

当院の場合、わざわざご紹介や、遠方から来院していただいている方々には、やはり「質」で答えるしか無いと思う。

今は患者さんも色々な歯科医院を比べられ、自分に合った歯科医院を選択できるし、歯科医院もキレイ事でなく自分のスタンス（内容のない単なる客寄せに始終する歯科医院も多いが・・・・・そのようなイベントを行っている内科や外科や耳鼻科、眼科などを」私は知らない。）を明確にできるいい時代だと思う。
だからコンビニより多いと言われている歯科医院も（結構歯科医院の倒産も多いのだが）、実際その診療内容の差がものすごく大きいため、即ち歯科医療サービスの内容の差や見かけの客寄による患者も階層化が起きているため、コンビニよりは潰れないのである。

ハッキリ書くが、患者側に高い治療要求があるなら、それを実現可能な高度な治療を行っている歯科医院を選ぶべきだ。低い治療要求しかないのにそのような歯科医院を受診しても無駄である。

さて、本題。
安売りセラミックの一例
２０代女性
マージン（境界面）精度が非常に低く、段がついている。
咬合付与も全くできていない。
調整し、削ったあとがザラザラで一部チッピングしている。
別の面にはこれまたおかしなコンポジットレジン充填のあと。
全ての処置が同様。
２
２ヶ月前に他院において臼歯部を安売りセラミックで処置したのだが、次々とマージン部分（境界面）が欠け、その度に口腔粘膜、舌を切ってしまうのだが、前医では研磨を行うのみで、とうとう半分に折れてしまった。
再治療行うと言われたらしいが、信用できなくなり、当院に相談に来られた。
他患者さんの話から、光学スキャン、チェアサイドCAD/CAMによる１dayトリートのようだが、いくらそのような最新の機材を使用しても、結局使いこなすのは人間であり、そもそもそれら機器の精度自体は様々な条件が揃い、腕のいい歯科技工士さんがいないとマトモなものはできない。

チェアサイドCAD/CAMは当院でもデモ機器を借りてテストしたことあるが、コスパ悪すぎ（安価で粗製乱造ならペイするのかもしれなし、案外保険診療との親和性があると思うが、誰もそのようなことは言わない。口が裂けても言えない。）で、まだまだ使い物にならず様子見である。
しかし、こういう一見インパクトの高い治療機器に歯科医も患者も惑わされ気味である。
車とか家電とか出たらすぐ買う新しもの好きで痛い目にいっぱい合っている私が言うのだから間違いない。
高い授業料払ってるので、それに懲りて、医療機器に関しては慎重である。

さて、患者さんに聞くとそのセラミックの価格は当院の約1/3。
元々かなり安価だと思っていたらしいが、、、、、、１日で治療できるし、、、、、、。
その結果がコレであり、結局全ての部分を当院で再治療となった。
当院でのe-maxオールセラミックインレー治療例（上記患者さんとは別症例)
形態、色調、マージンフィットが明らかに違うのがわかる。

別のケース、３０代女性も同じような状態であったが、コストが前医の３倍、全ての部分やり直しと聞いて治療は中止となったこともある。
その後のことは関知できない。
別にここぞとばかりにふっかけているわけでもなく、その患者さんの単に安物買いの銭失いなのだが、どこまで理解されているかは疑問だし、そのことを私に言われても困るので、それ以上の関わり合いなくなりそれはそれで良かったと思う。

コストが全てという考えは要注意である。
セラミックと称してコンポジットレジン治療行われていたケースにも遭遇したことあるが、患者さんの言われることが事実なら、これは明らかに詐欺である。

ハイブリッドセラミックスというマテリアルも、加熱圧入、焼成できないので材質的な範疇ではセラミックではなくレジンであり、同等のコストは疑問。
当院での症例
術前

術後・矯正治療後ホワイトニングを行い、e-max、コンポジットレジン充填行っている。