医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

2019.02.01リグロス

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歯周病治療薬として認可された薬品である。
既にエムドゲインなどが臨床応用されているが、作用メカニズムは全く違う。
当院においては既に使用し、臨床成績を残しているが、今までの何倍もの画期的な効果があるかどうかは疑問ではある。

歯牙周囲が歯周病に罹患し骨吸収が起きても、その吸収形態が4壁性、垂直的であるならば、露出している歯根正面をきれいにし、凹みにある肉芽組織を郭清すればそれで骨組織は再生される場合が多い。
歯牙を抜歯し、特に何か処置をせずにそのままでも数ヶ月経過すれば、自然と治癒するのと同じ。
無論、咬合関係、その他にも注意点を払わなければならないが。
吸収形態が逆に単純になればなるほど、骨組織の再生は困難となる。
そこで、簡単に言えば、メンブレン、チタンメッシュ、自家骨、他家骨、人工骨などを使用し、人工的に4壁性に形態を修正して骨の再生を促すのだが、知識的にも、技術的にも歯科医なら誰でも可能というわけではない。
歯科医自身理解していない人も多いが、リグロスをちょいちょいと塗れば治るという簡単なものでは決してない。
おそらく、歯周外科処置を日常的に、コンスタントに数をこなしている歯科医は数%以下に過ぎない。
このような事もできずにインプラント治療、インプラント治療とナントカの一つ覚え的なのが今の日本の歯科なのだが。
したがって、再生療法に使用する薬剤を使用するには高度な知識と技術が必要なのだが、骨が再生しやすい環境を人工的に作り出せれば、何も敢えてこの手の薬剤を使用しなくてもいいというよく分からない状況になる。
確かに使用すると、再生時間の短縮、確実性に大きく貢献するのだが。
何れにせよ、既存の方法と比較して何倍もの画期的な効果を期待できるようなものではないし、ケース選別もできず、技術も歯科医に乱用され、効果がないとの評価が下されないことを願うばかり。
他に行うべきことを何もせずにペリオクリンなる抗生剤が漫然と投与されているなど、この手の話は山ほどある。
なお、水平的な骨吸収には、一般的に効果はない。
インプラント治療に行うソーセージテクニックの変法で過去に数例行い、良好な予後を得られているが、保険診療では行えない。

今までこのような薬剤について話さなかったのは、必ず、ネットなどの情報をよく理解もせずに振り回され、「どのような歯周病でも治療可能」と思い込んでいる患者への対応が煩わしいからに他ならない。
事実、時々問い合わせがある。
「リグロス使ってますか?」だの、「歯周病治りますか?」という漠然とした電話が。
当院での回答は一つ。「実際に診察しないと分かりません。」
大体、電話はそこで切れる。
何を期待して電話してこられているのか全く分からないが、メディアで歯周病治療の魔法の薬みたいな伝え方とよく理解しない患者の功罪か。

最後に一つ。
歯周病の治療は、時間もかかるし、中程度以上に進行した歯周病の場合、歯周外科処置に移行する場合も多く、リグロスなどの薬剤を使用した場合、保険対応としてもそれなりにコストは発生する。
当然、全顎的包括診療、フルマウスリコンストラクションケースとなる場合が多く、歯周病治療以外にも根管治療、インプラント治療、補綴治療、矯正治療などを併用が必要な場合も多く、保険適応外、保険外診療となる場合も多いことを予めご理解いただきたいです。
この分野は当院の得意分野、主たる診察スタイルですが。