医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

2018.11.21歯周外科治療

日本人の成人の8割以上は歯周病に罹患していると言われている。
歯周病は一種の感染症であり、感染すると歯牙周囲の骨が溶けて、歯牙を支えきれなくなる。
患者さんの意識レベルによる差が大きく、個人差、地域差は大きい。
歯周病は加齢によるもの、遺伝(確かに一理あるのだが)で、どうすることもできないと考える人もいる。
また、治療に対する意識の差も大きいく、情報収集力も含め、歯科医療における、いや医療全般における格差は確実に存在する。
しかし、残念なことに患者さんの意識は高くとも、それに対応可能な歯科医は少ないことも事実。
これだけ歯科医院が増えても、歯科医の格差も確実に存在する。
歯周外科治療は多かれ少なかれ文字通り外科治療なのだから、ある程度の痛みは避けられない。
表面上のチャラチャラしたことで患者を集め、その患者に嫌われるようなことはしたくない、というのが昨今の歯科医院の考えでもあるのだが、それでは治らない。

歯周病といっても進行度合によって対応は違う。
歯肉炎の初期と言えるもの、初期歯周病、中等度、高度、それ以上の歯牙保存不可能なものまで様々。
ここで、歯肉炎と歯周病の違いを正確に定義できるか主治医に尋ねてみるとよい。
多くは明確な回答できないことが多いだろう。
ポケットの深さ?レントゲン所見?出血?排膿?動揺?、、、、、、いずれも単なる臨床所見で定義ではない。
答えはこのWebの中に。

さて、治療であるが、ブラッシング(ブラッシングだけで歯周病を治すという歯科医もいるが。)、スケーリング・ルートプレーニング(下手に行うと歯牙が削られてダメージを与えるだけ。)、抗生剤塗布(効果の程は?、無駄に口腔環境の除菌が昨今問題視されているし、耐性菌の出現の問題も。)、そして歯周外科処置など様々。
メインテナンスも重要だが、行うべきことを全て行ってからのメインテナンスは意味あるが、そうじゃないなら全く意味なし。
歯周外科処置といっても、これも様々に分類されるのだが、大きく分けると郭清外科的なものと形成外科的なものに分けられる。
大雑把に言えば、ここでいう歯周病に対する炎症除去目的の歯周外科治療は郭清外科に属すると言えよう。
(形成外科的治療は歯肉移植、前提拡張、その他このBlogのどこかで紹介してます。)
テクニック的に非常に繊細でマイクロスコープを使用することもあるが、要は麻酔下で歯肉を開け、歯根面をデブライメントするという、クローズドで行うスケーリング・ルートプレーニングを直視下で行うというもの。
当然、歯根面への処置の選択肢は増える。
虫歯が歯肉より下にまで広がっているケースにも応用可する場合も多いが、これを行わないと虫歯を取り残したまま処置してしまうことになる。
レーザーやバイポーラ等で安直に歯肉を部分的に切除しても、いわゆるバイオロジックウィドゥスは改善されないので、いずれ必ず問題再発するし、そこに適合精度の悪い修復物が装着されると尚更。

成人の歯周病罹患率が8割を超えると冒頭に記したが、その中で歯周外科治療の対象となるもの、すなわち協力的な患者さんに対し、初期治療で炎症が消退しないものが対象となるのだが、その割合は40%程度というところか。
協力的な患者さんに対しと書いたが、ブラッシングが改善しない、理解、協力が得られないようなケースに歯周外科治療のようなアドバンスで複雑な事は行えないし、行わない。
無論、インプラント治療なども行えない。
メインテナンスも早期にウヤムヤ、脱落となるが、致し方なし。
結局時間の経過とともに悪化し、再治療となる場合も多い。

当医院の場合、1日1〜2ケースは歯周病治療目的の歯周外科処置が必ずあり、まったく特殊な位置付けではない。
色々聞いていると、歯周外科治療を全く行わない、行えない歯科医院も多いが、それでは歯周病治療を行っているとは言えない。
中等度以上の歯周病に対し、単に表面のスケーリング、ルートプレーニング、歯周病治療薬を塗布し、毎月毎月検診と称して来院させる、、、、、、そして、いつまでたっても治らず、ジワジワ悪化し、そのうち抜歯となり、インプラントを薦められるというシナリオ。
この手の相談がいつもある。
歯科医も分かってるのかどうなのか知らないが、それら歯科医を信じてきた患者さんは、本当に可哀想に思う。

歯周病治療を行わず、行えず、歯を守る、温存するような治療を何も行わず、汚染された歯牙をそのままの状態にし、その隣にインプラント、、、、、、開け放たれた悪臭漂うトイレの横で、きれいなテーブルクロスと食器でこだわりの食事と同じと言っては言い過ぎか?