医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

2018.10.02セラミック矯正、、、、、

最近様々なメディアで「セラミック矯正」が露出する機会も多いので、問い合わせも多いので一言。
以前にも安易なこの手の治療方法に一言書いた。
そもそも「セラミック矯正」なる専門用語は存在しない。
直訳した英語も海外では全く通用しないだろう。
あくまでも素人受けしやすい造語に過ぎない。
敢えて「セラミック矯正」の定義を考えてみると、
「歯列不正を、いわゆる矯正治療のように歯牙移動を行って機能的審美的回復させるのではなく、位置異常の歯牙を補綴物(セラミック)のみ、時には抜歯、もしくは根管治療とダウエルコアで歯軸(歯牙の方向)を変え、さらに補綴物(セラミック)により機能的審美的回復を非常に短期間で目指す。」
とでも言えようか。
補綴物はセラミックである必要はない。
確かに通常の矯正治療よりも圧倒的に早く治療終了可能というメリットはあるので、何らかの時間的成約がある中で、リスクをよく理解した上で処置することはアリだろう。
しかしリスクについて多く語られていない。
通常の矯正治療でも抜歯行ってスペースを獲得することはよく行う。
根管治療+ダウエルコアで歯軸を変えることも学術的に許容範囲内なら行ってもいいだろう。
補綴物で審美回復行うこと全てが悪いとは思わない。
実際、私も行う。
しかし問題なのは、後先のことを何も考えず、保存可能な歯牙を抜歯や根管治療までしてしまうことである。
抜歯なり、根管治療行うと元には戻らないし、精度の悪い治療を行うと様々な問題が発生する可能性がある。
しかしメディアに露出している「セラミック矯正」のなかには無茶苦茶なものがある。
いくら患者さんが希望しても、歯科医学的見地からそのような治療を行うべきでないと判断したなら、行わない、敢えて治療を断るというものが医療としての良心だと思うのだが、何も考えず目の前の事だけで何の躊躇もなく行われている。
さらに、このような治療を行う歯科医は、見た目だけのことしか考えておらず、機能的なのものはおざなりにし、治療精度も低いと言わざるを得ない場合が多いことが問題。
無理な治療を行うと短期的にはうまく行った思えても、中長期的に必ず問題発生するし、悲惨な状況になって相談を受けたことも数知れない。

過去に私が安易な治療を断る→某美容歯科で処置→無理に歯軸方向を変更した歯牙が2年で歯根破折→当医院に再度来院
というようなケースも先日あった。
機能的にきちんとした咬合が再現されておらず、装着されていた補綴物の精度も悪い。
私の忠告に耳を貸さなかった事に患者さんは非常に後悔されているが、酷なようだが責任の一端は安易な治療に走った患者さん自身にもあると思う。
一番悪いのはその歯科医だが。

安易な治療にご注意を。
なお、審美目的での補綴は保険適応外となるが、これまた安易に保険診療で行っている歯科医院もあると聞く。