医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

2018.07.04約20年前の症例・その後リコール1回もなし

約20年前、開院当初の症例である。
治療終了後1回のメインテナンスもなし。
現在の口腔内写真。
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一部保険外診療であるが、大方が保険診療。
当時はまだまだコンポジットレジンの信頼性が低くメタルインレー、アマルガムすらある。
歯周病の進行による歯肉の退縮、充填物劣化、虫歯が発生しているが、私が行った保険診療、保険外診療を問わず、根管治療、補綴物には何の問題も発生していない。
過去の口腔写真と比較すると、歯牙の位置移動も起きている。
今と違い、根管充填剤、印象材、セメントなども極々普通のものを使用。
誤解があるが、保険診療でも丁寧に治療を行えば予後は保証されるし、逆に、ただただ高価なだけで手抜きの保険外診療には何の価値もない。
当時、マイクロスコープを既に導入していたが、まだ全症例には用いていない。
だから、マイクロスコープを用いると高度な治療ができると考えることも大間違い。
診療器具、機材が精度、予後に大きく左右するということは正しくもあり、間違いでもある。
余計に繊細なテクニックが必要とされることに、患者さんも、そして歯科医自身も分かっていない。
単にマイクロスコープを覗いて、細かい治療を行っているフリをされている可能性大。

今回、1〜2年前、他医院で行った治療に問題出たとのことで来院。
その他の細かな問題点を治療希望。
メインテナンスないものの、むかしむかし私が行った治療には何の問題も出ず、最近、他医院で行った治療に問題出るこのような例はちょくちょくある。

この方の比較的良好なブラッシング状態、トゥースポジション、咬合が功を奏したと考えられるし、当時のカルテを読み直すと、同様の診断と将来予測を既に立てていたことが分かる。

治療において大事なことは、
最初の診査、診断、治療計画、治療精度であり、最新の治療機器ではない。
最近のTV番組「ブラックペアン」でも、最新医療機器の同じ様な内容があった。
しょせん機械を扱うのは人間であるので、Webでよくある最新の治療機器、治療材料自慢はお笑いでしかない。
まあ、このような情報に振り回される人の方が多いのが現実なので、前述のような話が起きる。
無論、より高度な治療を行おうとするなら、最新の治療機器が必要であるが。
弘法筆を選ばずというのはある意味正しいが、弘法のパフォーマンス出し切るなら、やはり筆も墨も紙も厳格に選ぶべきである。
どこかの某元知事のように中国服まで必要かどうかは知らないが。

また、メインテンスを行わなくともよいという事を言っているわけでは全く無いので、誤解のないように。
本ケースも確実に歯周病の進行が見られ、このまま同じ様なことをしていたなら、5年以内に様々な問題が加速度的に発生するだろうと説明は行ったが。
メインテナンスなし、ブラッシング不良による歯周病の進行で保存不可能、様々な指示事項を守らず補綴の破損というような事態もあるが、責任は持てない。

痛みがないから問題ないと考えることも浅はかである。
人間ドックなどでたまたま撮影したCTにまずいものが写っていたが、全く自覚症状がない場合どうしますか?
まあ、その人の考え方もあるので否定はしないが。