医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

2018.06.11CAD/CAM 1day トリート

最近良く聞かれる。
以前にも書いたが、医院内でのCAD/CAMでの補綴物作製は、少なくとも私の基準からするとまだまだである。
CAD/CAMも一般精密工業からすると、幼稚な機械に過ぎず、色々学会や専門誌で見聞きしたり、デモ品を扱った感じでは熟練した歯科技工士に到底及ばない。
待合室などからCAD/CAMが補綴物作製している所を「見せる」歯科医院もあるらしいが、それはそれで客寄せパンダ的に患者さんにはインパクトあるのだろう。
一度CAD/CAMの補綴物をオーダーしたが、結局その補綴物が患者さんの口腔内にセットすることは無かった。
適合精度、形態付与、機能付与、審美性の付与、、、、、、全く話にならない。
CAD/CAMで作製した補綴物を歯科技工士が調整すれば、もう少し使い物になるが、とても1dayでは処置できない。
最新のテクノロジー云々、抑えられたコストで歯科医から薦められているなら、実情は以上のようなことなのでよく考えられた方がいい。
それといくらテクノロジーが進化しようとも、今までの延長線では複雑なブリッジ、特に天然歯の作製は無理だと思う。
なぜなら天然歯には正常な歯牙でも動揺があるので、ミクロン単位で微妙に位置が変化するから、必ず誤差が生じる。
このため、当医院においては保険外診療jは言うに及ばず、大掛かりな保険診療においても鑞着という手法をとることが多いのだが、それすら行っていない歯科医が大多数。
それでは誤差を減少できない。
(鑞着の一例)
IMG_2884.JPG

本来動揺のないインプラント治療、それも無歯顎に対して6本以上のインプラントを埋入し、上部構造のベースをジルコニアなりメタルを使用し、CAD/CAMでワンピースで作製するような完全に固定式の補綴物タイプを作製する時も、印象時には非常にテクニックセンシビリティとなるが、理解していない歯科医が大多数。
もっとも、このような治療に対応可能な歯科医院はごくごく一握りなので、行った経験のある歯科医の方が極僅かであるから話題にもならないのが実情。
メディアでも色々紹介されているので問い合わせがあるのだろうが、私が見た限りのメディアではまるで風呂のタイルのように真っ白い、適合精度の悪い(明らかに段がついている)、ものすごく人工的(色調に奥行きがなく、形態も平面的で、機能的咬合が付与できておらずおかしい)な補綴物が装着されてその患者さんは喜んでいたのだが、正直、なぜあのようなもので満足できるのか、なぜあのようなものを歯科医は患者さんにコンサルできるのか、非常に疑問である。
患者さんが良しとすればそれでいいという事であり、リテラシー低めの患者さんにはそれで十分という考え。
本当にそのような治療を自分自身が受けたいか、家族、友人、スタッフにも自信をもって治療できるのかどうか。
その歯科医自身の治療に対するハードルが低ければ議論の余地はないのかもしれないが。
まあ、よその事は関知しないが、少なくとも私はあのような治療を行わないのでご安心を。
少なくとも、当面は、、、、、、、
なぜなら、今、ものすごいスピード、数ヶ月単位で技術革新が進行しているから、特に光学スキャンがもっと使い物になり、様々な問題点がクリアされれば導入の価値はある。
現状、細部のスキャン性能はまだまだ。
私の医院では少ないのだが、少ないからこそ保険診療のメタルのクラウンなどが作製可能になるといいのだが。

いずれにせよ、現時点においてメディアで聞きかじってそのような治療を受けようと歯科医院を訪れるなら、鴨ネギ以外のなにものでもない。