医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

2018.05.30週刊誌の歯科バッシング②

・本誌では歯科金属がダメな場合は、CAD/CAMハイブリッドレジンをお薦めしているようだが、この治療の問題点は何
 も記していない。
 適合精度が悪い、割れる、変色、耐久性が低い、複雑な補綴設計は無理、、、、、、。
・根管治療の良し悪しは、レントゲン写真を見れば一発で分かるとはお笑い。
 レントゲン写真的に単に根尖まで充填されていたら成功と、取材した歯内療法専門医は決して言わないと思うが。
 根管治療の成否、すなわち無菌的処置が行われたか否かはレントゲン写真では決して分からないし、レントゲン写真で
 の確認は一つの手段にすぎない。
・ラバーダムは大事である。しかし、レジンによる隔壁とクランプだけでも可能な場合も多い。
 何のためラバーダムをかけるのかと言えば、歯内への感染防止、根管治療に使用する薬品の口腔内漏洩防止が目的なの
 だから。
 このあたり、後述のマイクロスコープ同様、対患者へのパフォーマンスとして行っている歯科医もいることは認識すべ
 き。
・マイクロスコープ賛美もいいけれど、本質は後に書かれている通り、「マイクロはあくまでも道具、歯科医の
 スキルが重要。」これが大事。
 このブログにも書いているが、どのような高級食材、調理器具を使用しても、誰でも美味しい料理を作れないのと一
 緒。
 このあたりを理解していない人は非常に多い。
 記事にもあるように、マトモにマイクロを使用して根管治療したなら治療時間が1時間くらいかかるのは普通だし、
 それを保険診療では決して行えないことも事実。
 私も大臼歯の抜髄処置には1時間は必要。
 麻酔、麻酔が効くまで待機、その間に患者さんに説明、ラバーダムクランプ装着、レジンによる隔壁形成、そしてやっ
 と根管治療開始なのだけれど、ここから行うべきことは山ほどある。
 なので時間は必要。
 マイクロスコープによる抜髄中の写真。
 DSC_3817.jpg
 そんなに時間かかるのは嫌、と言われるなら、ああそうですかとしか言いようがない。
 したがって私は根管治療にマイクロを使用するのは保険外診療、根管治療の後の補綴物が保険外診療の場合のみと
 させていただいている。
 もっとも、治療自体、ほとんど保険外診療なのだが。 
 通常はルーペを使用しているが、ルーペの方が機動性が高い。
 書かれているようにマイクロ使用して10分、20分にお治療なら、「マイクロを使用しているフリ」に患者は騙され
 ているだけ。
 マイクロ使用が特定の条件下で保険算定可能となったので、複雑な治療には耐えられない安いマイクロを購入し、使用
 した事にして保険算定、請求している場合もないとは完全に否定できない。
 言い方は悪いが、綺麗事は通じない。
・歯周疾患と全身疾患に明らか相関関係がある事は事実。
 要は患者さん自身がどこまで認識しているかという事。
 ブラッシング、義歯の取扱など色々言っても、全く関心ない人は全く関心なく、どうすることもできない。
・インプラント周囲炎に関しては事実。
 予防方法はセルフメインテナンスと歯科医院におけるプロフェッショナルクリーニング以外方法はない。
 当医院でのインプラント歯周炎の発生率は5%くらいか。
 因みに開院以来20年、私が行ったインプラント治療で撤去に至ったものは1本もない。
 どこの歯科医院でもメインテナンスの重要性について説明していると思うが、どこの歯科医院でも治療終了後メインテ
 ナンスから脱落してしまう。
 果たしてこれは誰の責任なのか?
・インプラントはネジ止めが有利と書かれているが、これは一つの意見。
 咬合的=機能的、審美的に不利な場合も多い。
 私は大部分をセメント仮着という方法をとっている。
・認知症でメインテナンス困難を理由にワンピース、ツーピース云々というのはどうなのか?
だいたい、上部構造はどこに行った?
 無くなった時点で機能していない。
 確かに安物インプラント、特に某国製の正規に認可されていないものには問題あるものも多いが、その辺りをもっと突
 っこん取材しないとね。
 安売りインプラントの実態、飛びついたものの、インプラントメーカー倒産や日本での販売中止、元々得体の
 知れないインプラント(某国製、中には歯科医院で自ら作成している物もある。)で、アフターケア不可能という自体
 の方が深刻。
 実際に私も経験している。
 また、患者さん自身の安易な判断でメインテナンス、インプラントを守るための諸事項を遵守しない事の方がはるかに
 問題なのだが、その部分にはほとんど触れられていない。

まあ、エロ記事、に溢れている雑誌なんで買うほどでもなく、某喫茶店で読んだ。
他の記事と同じ様なレベルの記事と考えるべきなのか。
まあ、記者自身の治療体験レポートを書くべきである。
それと、歯科コンサル、歯科医向けの怪しげなセミナーの実態、中にはきちんとしたところもあるが、多くは治療の本質ではなく、それ以外の部分での客寄せの方法指南という、歯科独特の世界があることもきちんと調べるべきである。
本当にひどいものがあるし、怖い。

ムキなっても仕方ない。私には直接関係ないので。

歯科医もバラバラ、ピンきりだが、それ以上に患者さんもバラバラ、ピンきり。
これは歯科医療に限らず、いや、医療、サービス、商品全般に言えること。
「質」を求められない患者さんもおられるが、あくまでも個人の意識であるからそれが間違いという訳でもないので、
話は混乱する。
患者さんは高度な治療を求め、歯科医はそれに答えなければならないという事は理想論でしかないし、理想論をベースとして治療の質云々言っても始まらない。
昨今、国民は知る権利があるとか言って、マスコミが他人のどうでもいいい余計なことまで根掘り葉掘り追求し、袋叩きにするのと似ているかも知れない。

治療に何を求めていますか?
結果?コスト?期間?全てを満足させられるような解はないし、あるというならそれは単なるキレイ事。

何れにせよ、情弱が損をする。
情報に振り回されるのではなく、色々深く調べて理解し、ご自身の治療の一助とていただきたいです。