医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

2018.05.07審美治療の本当の話

虫歯が深く、そのまま補綴治療を行っても虫歯の取り残しが出てしまうため、根管治療の後、矯正治療(エクストゥルージョン)で歯を引っ張り出し、周囲組織を歯周外科治療行い、ダウエルコア、プロヴィジョナルにて歯周組織の熟成を待ってから、補綴治療(オールセラミッククラウン)にて処置したケース。
通常、保存不可能と言われるような歯牙でも、一手間、少しのコストをかけることにより保存可能な場合も多い。

術前。
補綴物を除去、簡単なテンポラリクラウン装着、根管治療終了したところ。虫歯は歯肉深くまで存在し、歯肉は腫れて出血している。
これでも元々の補綴物より適合精度の「マシ」なテンポラリを装着して歯肉の状態はある程度改善している。
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エクストゥルージョン中。
2mm程度出てきている。
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歯周外科治療後、ダウエルコア(ファイバーコア)、プロヴィジョナル装着時。
歯周外科治療はバイオロジックウィドゥス獲得(クラウンレングスニング)とともに、歯肉の厚みを増やす処置、歯間乳頭再生処置も同時に行っている。(今回の歯周外科処置はいずれも保険外診療。)
エクストゥルージョン、歯周外科治療を行うと、歯頸部歯根断面形態が小さくなるため、プロヴィジョナルの調整が大事。
手術後3週間程度であるが、患者さんのプラークコントロールも良好なので炎症は消失しつつあり、健全な歯肉が獲得されつつある。
マイクロスコープ下でのオペのため治癒が早いが、更なる熟成は必要。
歯間乳頭も再生されてきている。
脱離してしまった奥の歯は先にe-maxオールセラミックアンレーにて処置済。
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歯周外科術後5ヶ月。
仮着中の最終補綴物装着時(ジルコニアベースオールセラミッククラウン)。
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他の部位も含め、このあと数ヶ月は経過観察し、問題なければ最終セット。

残せる歯牙も何でもかんでも抜歯し、インプラント治療行おうとする歯科医もいるが、本来、歯科医は歯を残してナンボである。
ある意味、本ケースのような治療の方がはるかに術式的にも難しく、時間もかかる。
私の医院ではインプラント治療はものすごく多いが、それは最後の手段として、また、自身の歯牙削合を回避する意味合い、その他の理由からくる患者さんの希望での結果である。
関心度が低い、治療に協力的でない患者には一切行わないし、どうしてもというなら、他院受診をお薦めしている。
コストもかかることだし、関心も理解も協力もない人が無理して行うような事ではない。
何でもかんでもアホの一つ覚え的にインプラント治療行おうと歯科医は、えてしてインプラント治療自体もお粗末な事が多い。
彼らの事を軽蔑を込めて「ネジ屋」とか「インプラント屋」という。
まあ、自分で色々くだらない理由をつけてインプラント治療についての知識、技術、経験がお粗末な事を棚に上げ、行わない、行えない歯科医のやっかみも多分にあるのだが。
なので、私にはインプラントなど歯科治療の治療オプションの一つにしか過ぎない。
酷い歯根破折、歯牙移植は制約も多く、無理して治療行ってもインプラント治療の方が成功率が遥かに高いと予測される場合はこの限りでないし、実際、私の説明が受けられず他医院において決して安くない費用を支払い、処置行ったものの、短期間で問題発生してまた当医院へ舞い戻ってくるケースもある。

審美歯科は、単にセラミックでかぶせればいいというものではなく、最初に機能ありき。