医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

2018.03.301day トリート

以前にも1day トリート、すなわち型とりを行い、1日で治療を完結する・・・・・話を書き、そのように謳う歯科医院も多いが、現実的ではないと私は考える。
昨今、メーカー名、製品名は敢えて出さないが、光学スキャン、即日完成をうたう製品も多いが、私の臨床基準では、
前述の通り、形態、色調、精度はまだまだだ。
過去に数回、デモを行ったが、とてもとても使えるようなものではなく、全て破棄し、e-maxで処置した。
出来上がってきたものを口腔内にセットされても、色調は、まるでタイルのように全く調和していない。
歯牙は単調な色で出来ているのではなく、大まかに言いっうても比較的暗い象牙質色、明るいエナメル質色、透明度の高い切端色に分かれ、さらに複雑な色調が混ざり合う。
しかし、鋳造法のe-maxにしろ、CAD/CAM削り出しのインゴットにしろ、色調は単色が基本であり
(多層レイヤーのインゴットも発売されているが、人間の歯牙の色調は工業製品のように画一化、均一化されたものではなく、もっと複雑。)、本物の色調に近づけようとするなら、出来上がったものの表層を落として追加の色調を築成し、さらにステイニングも行う必要がある。
したがって調和させようとすると、様々な調整を行えば行うほど、その日に完成不可能となり、本来の売りである1Day トリートできず、本末転倒である。
メーカー側もその辺りは十分承知であり、導入事例をみても、セラミックの高精度な補綴物を主目的として目指しているわけではなく、昨年から導入されたレジン保険診療や、ハイブリッドセラミックのような、ほどほどの治療費で、ほどほどの治療を数捌くようなビジネスモデルを想定し、それで経営を成立させるようなプランを描いてセールスしているみたいだ。
したがって当医院の指針とは合致しなので導入していないし、現状から相当使える状況にならないかぎり導入の予定もないので、様々な要因を熟考の上、どうしてもとご希望の方は他医院を受診して下さい。
後述のコンポジットレジン充填で対応可能な場合もあります。
今後、かならず技術的キャッチアップしてくる部分ではあるし、日本では発売されていないものの、海外では興味深い製品が開発、発売されているのでたえず注視しているが。
別に1day トリートを否定しているわけではなく、どうしても1dayで処置しなければならない等時間的制約のある患者さんもおられることも事実なので、メリット、デメリット、治療の限界を歯科医が十分説明し、患者さんも十分理解された上で処置が行われるなら何の問題もない。
ただ、当医院では説明を行うと、より高度な要求をされる方が多いと言うだけである。
したがって、時間的制約がある患者さんに対してはコンポジットレジン充填を行う場合が多いし、精度的にはその方がいいと断言できる。)
なお、当院では保険外のコンポジットレジン充填も行っているが、e-maxセラミックと比較するとコスト的に安価に設定しているが、治療時間は非常にかかります。
(だいたい、臼歯部4本を1度にマイクロスコープを用いて保険外診療コンポジットレジン充填行う場合、1時間以上は楽にかかる。コストは診査後のお見積。)
これは、物性的にはe-maxやメタル(保険外診療金属においても、無論、高含有金合金が一番いい)同等の耐久性はコンポジットレジンにはなく、複雑な窩洞に対し長時間の治療時間をかけて直接法(要は1回で治療する方法、精度的には間接法、すなわち型取りを行い、歯科技工士が作製する方法)に対して、形態的、機能的、精度的、審美的にあまりアドバンテージを感じない。
また、レジン自体に吸水性があり、加水分解が起こり、これが耐久性のネックとなる。
コンポジットレジン直接充填を同等のコストで治療行っている医院もあるが、このあたり、説得力あるのか?

実用上全く問題ないが、セラミックも長期的には加水分解すると言われているが、昔々の陶磁器でも実質問題ないので心配は無用。
ただし、適合精度の悪いセラミックにおいてレジン系セメントで接着されているもので、明らかなマージンラインが出ているものの予後は疑問である。
マージン部分から劣化始まり、2次カリエスが発生し、最終的には脱離が起こる。
なので、歯科医、歯科技工士の技術が大事なのであって、コストを掛けた保険外診療なら安心というのは幻想でしか無い。