医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

2017.10.10Minimal Intervention・ミニマルインターベンション

最近言われている(歯科に限らない)Minimal Intervention(ミニマルインターベンション)とは、直訳すれば、最小限の介入ということである。
要は、虫歯治療するにも、大きく削らず、できるだけ歯牙を温存しましょうと言うことである。
ごもっともではある。
今までは言うは易しであったが、なかなか実現は難しかったのだが、近年、接着歯科医学の技術進歩や、マイクロスコープの導入などにより、ミニマルインターベンション自体は実現可能である。
あまり言われないが、私は、大規模な骨移植をせずともインプラント治療が可能になってきた、ショートインプラントの登場もミニマルインターベンションの一分野であると思う。
しかしだ、ミニマルインターベンションという一般の方には聞き慣れない単語が登場し、患者さんが振り回されている感も否めない。
いみも分からずミニマルインターベンションやってます的な客引きキャッチコピーの歯科医も多い。
どっちもどっち的な場合もよくある。
ミニマルインターベンションを行おうとすれば、本来は高度な設備、知識、技術、経験が必要である。
全てがミニマルインターベンションで処置可能かと言えばそんなことは決してない。
医科分野で内視鏡手術の登場により、開腹手術が全く行われなくなったことなど無いし、脳外科のワンコイン手術の登場により、完全開頭手術が消滅したようなこともない。
それよりも、稚拙な技術しか有しない医師の無謀な手術により、不幸な事故、いや事件が報道されたことも記憶に新しいが、あんなのは氷山の一角。
歯科の場合、介入部分をあまりにも小さくしたがための虫歯の取り残し、不良な根管治療の例も多い。
また、バカの一つ覚え的にコンポジットレジン充填にこだわっても、予後が非常に悪い場合もあることを、患者さんもよく認識すべきである。
コンポジットレジン自体の耐久性には限界があるのだが、よく分かっていない歯科医の誘い文句に乗っかった患者さんが、なんでもかんでもミニマルインターベンションを求めてしまうと、歯牙プレパレーション量を減少させ、表面上はよかったよかったと思うのだけれど、結局長期予後が望めず本末転倒であり、プレパレーション量は増加するが、メタルなり、セラミックなりのフルクラウンの方が予後がいい場合も多い。
一律なのではなく、多くの引き出しの中から最適なものを選択できることが一番である。