医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

2017.09.23インプラントの実態

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少し前に発売された、現在日本で厚労省認可済のインプラントガイドブックである。
世界にはインプラントメーカーが約300社あると言われているが、日本に正規に販売されているものは30社程度、しかしこの中にも世界的評価が無いものや、疑問のあるメーカーのものも含まれているし、海外から歯科医による安価なインプラントの個人輸入、さらには歯科医自身が自分でインプラント自体を作っているという話もある。
玉石混交であるインプラントの世界であるが、以前にデーターとして提示した数社で、世界においても、日本にもおいても過半数のシェアを占めている。
当医院では、その上位メーカーであるASTRA(スゥエーデン)、BIOMET 3i(アメリカ)、ITI(スイス)のものを使用している。
メーカーとしての保証制度、バックアップ体制なども確立されている。
弱小メーカーが次々倒産し、パーツの供給が不可能という問題も実際出てきている。
したがって、当医院のインプラント治療費用は安くはないし、安物インプラントを使用して安価のみを売りにしている歯科医院と競争しようという気も毛頭ない。
ネットなどで調べ、安くインプラント治療ができると安直に喜んでいる場合ではなく、どこのメーカーのものが使用され、そのメーカーがどのような評価があるのかをよく知るべきである。
治療のどの部分に優先順位、コスト、治療の確実性、臨床成績、、、、、を置くかは患者さんがよく考えるべきことである。

さて、このガイドブックに興味深いデーターが掲載されているので紹介しよう。

・日本におけるインプラントの普及率は世界的に見ても非常に低い。
 しかし、日本は独特の医療制度が存在するため、一概には比較できない。
 世界で群を抜いて普及率が高いのは韓国だそうだ。
・2014年、日本には歯科医院が69000軒存在し、その中で35%がインプラント治療を
 実施しているとされている。=24150軒
・現在、2008年をMaxに景気の衰退、震災、インプラントバッシングで減少傾向、2015
 年、年間500000本弱のインプラントが埋入されている。
 ただし、一般に成功率は95%程度、医院の中には70%を切る場合もあるので、実際の埋入
 成症例、本数はもっと少ない。
 なお、当医院では2008年以降も減少傾向は全く無く、概ね右肩上がりである。
・上記のデーターから、治療成功症例は475000本(治療成功率95%とした場合)、イン
 プラント実施歯科医院24150軒から、単純計算では、歯科医院1軒あたりの年間埋入本数
 は約20本程度にしかならないが、実際のところ年間数本〜10本程度しか治療を行っていな
 い歯科医院が大多数でり、それも難易度の低いケースがほとんどであり、骨の移植、歯周組織
 への対応など、単にインプラント治療のみならず、歯科治療全般的に高度な対応可能な歯科医
 院はほんの数%にしか過ぎない。
 これは各インプラントメーカーからも聞いている話である。 
 ただし、ここでも現行の保険制度が大きく絡んでくる。
 
 単純年間埋入本数20本というのは、下手をすると当医院の1ヶ月分にもならない。
 数が全てとは全く思わないが、年間数本〜10本程度で歯科医自身の技術維持可能とは到底思
 えないし、説得力もないと思うが、いかがなものだろう。 

海外の歯科医と話をしていると、日本における歯科用CT(CBCT)が世界に類を見ない普及を見せていて驚かれるが、実際に高度な診断に使用されているとは言い難く、サージカルステントを含め、簡単な治療に大多数が使用されている事は残念な限りである。
高額なCTのコスト回収のため、ムダな検査が高額で行われていたり、必要もないサージカルステントが作製され、これもまた高額な治療費が上乗せされている事も事実であり、患者さん自身もそのような装備、検査を盲目的に信用することは昨今、非常に疑問である。

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