医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

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2017.08.25「Tooth Contacting Habit」って何?・歯ぎしり、クレンチング、タッピング・・・

「Tooth Contacting Habit (TCH)」とは「 歯列接触癖」の略で、上下の歯を"持続的に" 接触させる癖のことをいいます。
以外に思われるかもしれないが、上下歯牙が接触する時間は1日あたり最大でも15分と言われている。
それ以外は安静空隙といって口を開かないまでも上下歯牙は2〜3mm離れて安定しており、
周囲の筋肉もリラックスしています。
食事をする際、前歯でも奥歯でも食物も噛み切る一瞬しか歯牙は接触しない。
TCHは広い意味では歯ぎしりの中のクレンチングに分類されるものである。
歯ぎしりというと、就寝中にギリギリ、ガリガリ行うものと皆さん考えておられるかも知れないが、昼間、起きているときにも起こる。
基本的には緊張している場面でTCHは起こる。
例えば、
一時的に生じる精神的緊張(精神的ストレス)
習慣化した作業で集中するとき・・・・・診療中私自身にも自覚あります。
精密作業・・・・・これまた、診療中私自身にも自覚あります。
主婦の方は掃除、選択、料理、、、、、色々イライラする事も多いでしょうがその原因は様々、ここでは敢えて触れませんが。
意外と何もせずぼーっとテレビ等見ているときなどでも起きます。
力仕事、スポーツ中に強く噛みしめる事をクレンチングと言い、TCHはそこまでの力がかかっていないことが多いので一歩手前の状態とも言えます。
意外と高齢の方で趣味で手芸を行っておられる方でクレンチングが原因と思われるケースも結構あります。
入れ歯とインプラントを併用している方(IOD)など、どうしてもレジンで作られている入れ歯に負荷がかかりヒビが入る、割れるというようなケースもあります。
クレンチングが原因の歯牙破折で来院される方がちょくちょくおられます。
この話は、スポーツマウスガードの項目などを読んで下さい。

TCHがあると、、、、、
本来、安静状態でも筋肉の弱い活動電位があるが、上下の歯が接触すると、軽い接触でも咀嚼筋の活動が強まり、その強さ、時間に比例し、歯牙、歯周組織、筋肉、顎関節等、様々な部分に問題が発生する。
さらに進行していわゆるクレンチングになってしますとその影響力は破壊的である。
まあ、簡単に言うなら力やストレスやらで肩が凝るのと同じく、顎が凝っている状態ともいえるが、
一日15分程度重い物を持ち上げても大した問題にはならないが、何時間も毎日毎日なら、そりゃ筋肉、関節に問題出るのも当たり前、顎関節は複雑な構造をしているため、単に筋肉の緊張をほぐすだけでは治らず、顎関節自体に機能的、器質的、変性が起きてしまうと非常に厄介だ。
では、どうするか?治療方法は?
一番簡単な方法は、初期症状なら、歯牙が触れたら離す、の習慣化だけで結構治ります。
この自己暗示法が有効と言われている
でも、中々難しい部分もあるので、次のステップとしては、

顎関節症の診断基準(日本補綴歯科学会 「顎関節症に関するガイドライン」)
・顎関節や咀嚼筋の疼痛
・関節雑音
・開口障害(35mm以内)、顎運動異常
の3大症候のうち、少なくとも1つ以上を有すると顎関節症と診断される。
(即治療とならない場合も多いので注意。)       
に照らし合わせ、顎関節症に準じた治療となる。
具体的には、
スプリント療法(ナイトガード、マウスピースなど)が一般開業医ではメインとなる。
薬物療法、運動療法、理学療法、暗示療法などもあるが、特に精神的な問題が絡んでいるようなケースでは、やはり大学病院等の受診をお勧めする場合が多い。

広い意味での歯ぎしりの怖さをもっと知っていただきたいと思う。
ナイトガード必須の患者さんでも私の勧告を受け入れず、いい加減な事になって色々問題出るケースもあるが、
残念ながらその部分での責任は一切取れない。
週に1日くらい装着しなくてもいいだろうとの安易な考えでも、年間52日、すなわち2ヶ月弱装着していないの一緒なので、そんなもの何の意味もない。
ちゃんと装着していますという患者さんも、実際にナイトガードの消耗状況を見れば一目瞭然なのであるが。