医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

2017.08.18インフォームド・コンセントと治療方法の選択

表題の件、最近、歯科に限らず、医療全般にわたって再認識を求められている。
患者に治療方法の選択をさせてはダメとの意見も出始めているし、インフォームド・コンセント自体の定義の見直し議論もある。
失礼を承知で書く。
素人の患者相手にいくら微に入り細に入り病態、治療方法を説明しても理解を得られないということは歴然とした事実であり、当然、いくつかの治療選択肢を提示しても、的確な判断はできない。
細かく、丁寧に説明をすればするほど混乱が大きくなり、治療効果の妨げになってしまう場合もある。
挙句の果てには、医療不信からか、怪しげな情報を信じて科学的根拠の全くない民間療法に走ってしまうケースも多い。
自己責任と言えばそれまでだが。
患者目線とは聞こえはいいが、プロが素人と同じ目線でどうする?
混同激しいが、患者の立場に立つというということとは全く別物、まやかしのリップサービスにしか過ぎない。
いつも書いているが、ITにより今は情報が簡単に手に入る時代である。
しかし、高齢者の方の中にはITとは程遠い生活を送れれている方も多くおられるし、無論、もっと若い階層でもITリテラシーが低いと、正確な情報を入手することは出来ない。
うまく誘導されるだけ。
今更ながらのFace bookではあるが、見ず知らずの人に、友達の友達だからとの理由で、友達申請するような人、不特定多数の場に自分の子供の顔写真を何のためらいもなく公開するような人、ネットの情報は全て正しいと考えているようなオメデタイ人々の事である。
インフォームド・コンセントも本来の意味、意図から外れ、日本的インフォームド・コンセント、すなわち医師が患者に対しての説明責任を果たすということに主軸をおいている事が、話を複雑化させている。
医師があれこれ時間をかけて説明しても、結局患者は本質的なことは理解しておらず、治療方法の選択もよく分からないまま治療承諾書にサインをしてしまうのだが、いざ問題が発生すると、きちんとした説明がなされていなかったと揉めるケースである。
来院の度、毎回、単純で、基本的な同じ事を聞く患者もいるが、本当に大丈夫なのか不安になる。

もし、あなたが何かの専門家なら、ご自身の仕事でも趣味でも、その内容をズブの素人に説明することを想像して欲しい。
九九も怪しい小学生に、難関大学の数学の問題を解説する方法を考えて欲しい。
誤解のないように言うが、私は決して説明責任を放棄しているわけではない。
最近の自動車は、操作がモニターがタッチパネルになっていて、全ての操作はそこから階層構造になっていたり、スマホアプリで様々な操作ができたりと利便性が高まっている。(実際は操作が増え、使い勝手悪いが。最近発売された某車は、エアコンの吹き出し口もタッチパネル上で呼び出し、風向きを変更する時、左右にスワイプするが、そこまで必要かどうか?)
しかしだ、メーカーの営業曰く、んなの使いこなせる人は極僅か、私はマニュアルを読み込むタイプなので(隅々まで知らないと気持ち悪いタイプ。マニアともオタクとも言う。)マニュアルに記載されていない事を聞くと、しどろもどろが現実である。
後日談として、私が指摘した機能は日本仕様には搭載されていないにもかかわらず、堂々とマニュアルに記載されていた事が判明したのだが、その事に最初に気づいたのが私一人なのはどういうこと?
ということは、その辺を走っているこのようなタイプの車は、設計者の意図とは別に機能を使いこなせず走り回っているということになり、大変もったいない事であるが、納車時に営業が説明しようとしても、「そんなん、難しいのいいわ。とりあえず使えるようにだけして。」というのが多いそうだ。
別の話、購入した某スイス製高級腕時計がすぐに止まった、壊れたとクレームが入ったらしいが・・・・・その時計は自動巻きなのであった。
これも事実。
医療における説明責任とかインフォームド・コンセントとはえらく隔たりがあるような気がするが、根幹は一緒。
脱線したが、私は科学的根拠に基づいた説明をきちんと行うことを自分の臨床の旨としているので、話が全く噛み合わないなら、押し付けがましいと思われるのも困るので、説得までするようなことは一切しない。
複雑な治療を敢えて提案しない場合もある。
適当に患者の話に合わせ、適当に治療を進めてしまうような医療がいい事とは思えないし、患者に気に入られようと「いい医師」を演じられるほど演技派でもないし、そんな時間もない。
自分自身の事なのだから、病状、治療についてよく知っていただきたい、いや、知らずに治療はあり得ない。
かと言って、率直に書くが、よく分かってもいないのに自分でいろいろ調べた偏狭な知識をひけらかす患者は非常にやりにくい、というか治療は無理である。
確実にピント外れであるし、チョロチョロっと調べて分かるような簡単なものではない。
IT使用して調べれば調べるほど、怪しい情報が表示されるということも記しておこう。

ご自身の理想とする治療を具現化できる医院を見つける事をお薦めする。
時間が経過し、無茶苦茶になって、私の医院に舞い戻って来られる方が多くおられる事も、これまた事実である。