医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

2017.06.07セラミック矯正とは何?

セラミック矯正やっていますかとの問い合わせがちょくちょくある。
最初セラミック矯正という意味が分からず、セラミックマルチブラケット矯正の事と思っていたのだが、どうも話が噛み合わない。
セラミック矯正という専門用語は存在せず、一部の審美?歯科医やリテラシー低めのユーザーが作った造語にすぎない。
特に若い人の間で短期間でキレイになるとのウリ文句で人気があるらしい。
歯科医院自体の就活の一環とのセールストークもあるらしい。
ここで言うセラミック矯正とは、歯並びが悪い場合、抜歯、神経処置を行い、ダウエルコアで歯軸を無理やり変え、短期間のうちに補綴物で歯並びを良くするようもの。
いわゆる金具(ブラケット)、アライナー(マウスピース)を使用した、歯牙自体を適切な位置に移動させる矯正治療とは全く別物である。
様々な事情があって短期間の内に歯並びを改善したいという要求がある場合、メリット、デメリットを十分理解した上で行うのは「アリ」だろう。
事実、僅かだが、私も結婚式が近いなどの理由で小範囲に限って行った事はあるが、メリット、デメリットの説明はキチンと行い、十分理解してもらった上での話しであり、また、処置後のメインテナンスも確実に行っているので問題は発生していない。
しかし、言われるがまま、大した理解もないまま、話に乗っかってしまうと後々悲惨な結果となる。
そのセラミック矯正をご希望で来院された方を診察し、セラミック矯正など止めたほうがいい、通常の矯正治療を行った方がいいと話を理論的に説明しても理解できて私が提案する治療を受け入れる方は20%程度、後は「ムッ」としてそれで終わりとなるが、それはそれでいい。
必ず発生する後々の面倒な事に巻き込まれるのはゴメンだ。
無論その20%に方には何の問題もなく矯正治療終了、メインテナンス中、現在も治療中など様々なのだが、
色々情報が耳に入ってくるようで、私が安易な方法を進めなかった、患者さん自身も選ばなかくて良かったと異口同音に言われる。アタリマエだが。
残りの80%については、もはや私の患者でもないので全く関知しないし、何の興味もないが、一人だけ他医院においてセラミック矯正を行ったものの、処置後2年位で補綴物(ブリッジ)が揺れてきたとの事で再来院。
元々上顎左右八重歯で、それを短期間で何とかしたいとの事だったのだが、私の全顎矯正、もしくは部分矯正+補綴という提案は全く受け入れられず転医、転医先で④3②┛┗②3④のPFMBrが装着、その他の問題はそのままであり、
左右4部セラミックは既に一部チッピングしていた。
無論、このような患者にありがちなのだが、メインテナンスも全く行っていない。
「咬合」を少しでも理解している歯科医なら、通常このような設計には絶対ならない。
結局、その状態からのリカバリーとなると、動揺歯の収束状態にもよるが、基本的には全顎矯正、現状のセラミックブリッジを除去し、もっと多くの歯牙を連結したブリッジへ設計変更、または、欠損犬歯部へのインプラントによる単独補綴+前後歯牙への補綴という正統派、正攻法プランを説明したのだが、私に相談するより治療してもらった主治医に相談することを進めた。
結局受け私のプランは受け入れられることはなくウヤムヤだが、それも致し方なし。
あれから3年、それ以上の事は分からない。
短期間でよくなるという裏側を、よく読み解く必要があるし、行わなければならない。
このような治療とも言えないような方法を提示する歯科医なのだから仕事も雑な場合が多く、したがって中長期的予後も無いに等しい。
短期間でキレイになったと喜んでいる場合ではない。
単にリテラシーが低く、何も考えられないあなたの弱みに付け込まれているだけである。

安易な方法で最大の結果のみを求めるのは明らかに間違っている。
楽して痩せるとか、聞くだけで外国語が話せるようになるとか、そんな事で通常実現できるはずもなく、実現しようとするなら、それなりの努力(情報収集力)、理解、実行力は必要だが、残念ながらこの事自体理解できない人は多い。