医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

2017.06.21根管治療・精密根管治療

症状改善せず、他医院から転医されてきたケースをいくつか紹介している。
本当に多い。
治療無断中断で、しかも感染歯質取り残し、隔壁未形成、仮封も甘く2次的感染が置きていたなら(長期間そのままなら、まず、確実に2次感染起きている。)、予後は圧倒的に悪くなる。
まあ、自業自得であるので、元の歯科医院へ通院することをお薦めしている。
しかし、当医院への来院の大部分は根管の見落とし、間違った根管治療によるものがほとんどであり、これは患者さんの責任ではない。
通常、2〜3回の根管治療で症状改善しないなら、他の方法を選択すべきである。
半年、1年とダラダラ根管治療を行い、結局痛みも腫れも引かないケースにちょくちょく遭遇するが、治療しているのだか、悪くしているのだか分からない場合が多々ある。
痛みが引かないなら抜歯→インプラントというよくあるパターンである。
マイクロスコープがなければ精密な根管治療は全くできないという考えは明らかに間違いだし、患者自身が盲信していることも大きな問題。
あればぐんと成功率上げられることは事実だし、シビアなケースには必須のアイテムではあるが、大事なのはあくまでも診断と、科学的根拠に基づいた治療。
本当に使用してゆくなら一般の歯科医院で簡単に導入できるようなものではなく、安モンは単なるハッタリでしか無いことも何度も書いた。
色々ありがたがる歯科医も患者もいるが、電解水による根管洗浄も、世界的にはスタンダードではないことも記しておこう。
根管治療において、マテリアルや機材にこだわるのもよいが、もっと大事なことがいっぱいある。

歯科治療において基礎工事、地盤工事ともいえる根管治療であるが、日本においての保険診療ではおざなりにされている。
なぜなら、保険点数=治療費用が、欧米諸国とは言うに及ばず、東南アジア諸国と比較しても非常に低く設定されているからである。
この様な状況で、マイクロスコープを用い、使い捨てのNiTiファイルを使用し、ものすごく時間をかけ、日本では保険認可されていない材料を使用して根管充填を行うことなど不可能である。
根管治療に限らず、歯科全般、いや医療全般において、日本が世界に誇る国民皆保険制度は、世界基準、最先端、高度な治療が全て保証されているとは考えないでいただきたい。
負担金も、同じ治療を行っているのもかかわらず、患者さんによって0割〜3割もの開きがあるものすごく不公平なシステムであり、さらには、医療機関側の医療サービスの質にもものすごい差があることも再認識すべきである。
全く議論にもならないが。
したがって、保険でいい治療をと言うは絵に描いた餅である部分が多々あり、リップ・サービスでしかない。
以前にも書いたが、そんなに保険診療でいい治療を行っているなら、その歯科医、家族、友人、スタッフは何のためらいもなく保険診療で自身の治療を行っているかどうか尋ねてみるといい。
少なくとも私は、自分がされたくない、家族、友人、スタッフに自信をもってお勧めできないような治療を私の患者さんへのファーストチョイスとすることはない。
かと言って、保険診療をおざなりにしているわけではないので、少なくとも当医院に来院されている方はご心配無用だが。
ただ、できる、できないの一線がハッキリ存在するという事実はご認識いただきたい。