医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

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  • 他医院で治療中、でも、痛みがひどくなる(精密根管治療の話)

2017.06.09他医院で治療中、でも、痛みがひどくなる(精密根管治療の話)

他医院において数ヶ月通院したにもかかわらず、痛みが引かず、ドンドン状況が悪くなるので、当医院に来院されたケース。
あまりにも痛みが取れない事を訴えると、ペインクリニックを紹介されたそうな・・・・・・・どうせ、根管の見落としだろうが・・・・・
術前写真
DSC_6731.JPG
手前の歯牙にもカリエスあり、この歯牙の痛みの可能性もあると言われ、危うく神経治療開始されかけたそうだ。
確かに、冷水痛あるので要治療であるが、当該歯に特定した強い痛み、打診痛ある・・・・・
感染歯質の取り残し、隔壁も作製されておらず、ラバーダムもかけようがない。
コンポジットレジンで隔壁を作製し、簡易的な方法で防湿可能だったので治療開始。
仮封剤を除去してみると、強烈な腐敗臭と根管消毒薬とおぼしき液体の強い匂い。
根本的な根管治療の方法が間違っている。
通法通り根管治療開始。最終的な補綴物をオールセラミッククラウンでご希望されているため、
全てマイクロスコープ下で治療。
予測通り、痛みが消失しないのは、イレギュラーな位置に存在する微細なMF根管の完全な見落とし。
いつまでたっても痛みが引かないなら、何か次の一手を考えればよいのにと思うが、
基本的な知識、術式すら欠如していると思わざるをえない。
私は概ね、2〜3回の根管治療で症状改善しないなら、外科的歯内療法を提案する。
いたずらに回数を増やしても、根管を傷つけるだけで、余計に予後が悪くなる。
前医もマイクロスコープを用いていたらしいが、何を見ていたのか?どこを見ていたのか?
1週間後の2回目の治療日には痛みは完全に消失、少し打診痛が残っていたため、根管洗浄と、消毒薬塗布(水酸化カルシウム系・・・・現在の根管治療のスタンダード。以前にも書いたが、未だに刺激性の強い消毒薬を使用している歯科医の多いことには驚きである。)
さらに1週後、3回目の治療日に根管充填。(保険外診療のため、MTA、バイオセラミックシーラー併用。)
根管充填後写真
DSC_6734.JPG
近心根が少し離れているのが分かる。
不用意なファイル操作によるレッジが形成されている。
この後ダウエルコア、プロビジョナルクラウン作製し、しばらく経過観察後、問題ないなら最終補綴物作成開始。
結局、この部位以外にも気になる所が多々あるとの事で、結局全顎治療となった。
数ヶ月前に治療したはずの保険外診療にも驚愕の事実が・・・・・!

痛みが止まらないからペインクリニック、神経内科紹介、・・・・そりゃ、患者さんは激怒するわな!
診断不良、ムダな抜髄、お粗末な治療、根管治療で症状改善しないから歯根破折と言われ、抜歯→インプラントという話は多い。

それともうひとつ。
根幹治療は痛みが取れたらそれでOKというものではない。
除去した神経の部屋を無菌化し、緊密に、完全にシールし、再発を予防することを旨とする。
さらには、補綴なり、コンポジットレジン充填なりで修復、咬合の再構成を完了して初めて治療完了となる。
したがって、本来は非常に時間がかかる治療なのであるが、このあたり患者自身の無理解も多く、痛みが取れたら治療中断し長期間放置、上部からの2次感染を発生させ余計に話を複雑化させているケースがある。
当医院では意識レベルの高い方が多いのであまり無い、というか、貴重な診療時間はマジメな患者さんに使いたいのでルーズな患者にはお引きとり願い、通院し易い医院に行くことをお薦めしている。
基本的に長期間放置、2次感染を起こしてしまうとその歯牙の予後は非常に悪くなるのだが、
本ケースのように患者さんには何の落ち度もない場合と、自らのルーズさが引き起こした場合に大別されるが、
後者は自業自得である。