2017.05.19私は、もしもしなんでも無料歯の電話相談室を行なっている訳ではない

日々、電話で色々な問い合わせがある。
大半はお悩みを抱えての治療相談、セカンドオピニオン、治療予約であり、それは何の問題もないのだが、時々「◯◯という治療できますか？」、「△△の治療費用は？治療期間は？」という類のものがある。
そんなもの、何の診察もなしに答えようがない。
何かしら、無料電話治療相談だの、メール相談だの行っている歯科医院もあるので、私のスタンスが不親切と考えられるなら、それはそれで致し方ない。
軽々しく答えることの危険性をご理解いただきたい。
患者さんの状況は個々に違うにもかかわらず、最大公約数的話など何の科学的意味もない。
経験上、電話である程度の病状をお聞きしても、実際に来院、診察となると、患者さん自身の認識以上に状態が悪い事が多々ある。
それら病状を、レントゲン写真、検査値、マイクロスコープでの写真、その他データを用いて病状を細かく説明し、治療計画を立案してゆく。
また、私は科学的エビデンスがある世界基準的な治療は行うが、迷信的治療は一切行わないので、それらの問い合わせには、「一切行っていません。」とだけ答えている。
その治療が、どれほど胡散臭くて、一部の熱狂的歯科医信者に支持されるも、科学的根拠なく、日本の、世界のマトモな勉強をしてきた歯科医が鼻で笑い相手にしてないなどと一切言わない。
実際処置行われたものの、様々な問題引き起こしていることなどとも一切言わない。
最初からバイアスかかっている話など関わり合いたくないので、そのような治療を行っている歯科医院を探して受診して頂きたい。

返答に困るものがある。
電話で色々言われても、実際に診察してみないと何とも言えない事など、患者は知る由もないのだが、よく考えてほしい。
「熱があるのだが、カゼでしょうか？」などとバカな電話を内科にする人がいるのかどうか。
ちょっとしたカゼの一症状で、一晩寝れば治るレベルなのか、全身的危機的状況の前兆なのか、診察なしに何も分からない。
先日も親知らずを欠損部分へ再植可能かどうかとの電話があったが、そんなもの実際診察してみないと何とも言えない。
何かで聞きかじったのであろうが、歯牙移植は、様々な条件がそろわないと不可能である。
単にできるかどうかと問われれば、経験あるので可能となるが、患者の状況も把握せず安易な事は言えない。
ある人には可能でも、違う人には不可能な事など医療の世界では普通なのだが、どうも、歯科は簡単に考えるフシがある。
再植の長期予後、転機、再植部位、口腔内の状況等、過去の経験からインプラント治療行った方が良いケースも多々あるが、実際、診察しないと何とも言えない。
そのように率直な意見を言って、患者のご機嫌を損ねることもあるが、それはそれでよい。
単に高額になりがちなインプラント治療を回避するためだけに安価な歯牙再植を求めているのなら、それは安易な考えであるとだけ言える。
したがって霊能力者でもない、単なる歯科医である私には、電話で即診断、治療計画を提示できるような能力は持ち合わせていないので、悪しからず。
また、前述通り、広告によくあるような無料矯正治療相談だの、無料インプラント治療相談も一切行っていない。
診察行為なしの茶飲み話的なものなど何の意味もない。
レントゲン検査を含む各種診査、診断無くして相談もできないし、当然、何らかの診察行為を行えば費用は発生するし、患者さんも正確な情報を収集したいなら、ある程度の努力は行って頂きたいものである。