医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

2016.09.05インプラント1回法、2回法

インプラント治療を行うにあたり、顎骨内に埋め込み、歯肉で術野を完全に閉鎖し、インプラントと顎骨がインテグレーション獲得できるまで口腔内に一切露出させず、後で、歯肉部分を少しだけ切開して、ヒーリングキャップを装着し、上部構造体の作製にとりかかる方法が2回法。
インプラントを顎骨内に埋め込んで、インプラントフィクスチャーに適切なヒーリングキャップを装着し、口腔内に露出させたままインテグレーション獲得まで待機する方法が1回法である。
2回法は文字通り、2回手術行う必要があるため、患者さんにとってはネガティブなイメージがあるが、
審美的要求達成のため、同時に歯周組織移植などを伴うことも多い場合には有効な治療方法である。
1回法はインテグレーション獲得までの3〜6ヶ月、口腔内に露出したままになるため、感染のリスクが伴うが、実際には適切な処置が行われば、1回法と2回法の成功率に統計的に有意差はないとされている。
実感としてもそう思う。
しかし、これは骨の状態がよく、インプラントフィクスチャーの初期固定が規定のトルクで締められる場合の話であって、骨の質が悪い、改善処置必要、骨移植を伴う場合などは、埋入したインプラントフィクスチャーを安静に保たなければならないので、2回法で行う必要がある。

また、1回法、2回法ではインプラントのデザインも違い、専用のものもある。
基本的に1回法用インプラントは1回法でしか使用できないが、2回法用インプラントは1回法としても使用可能である。
インプラントメーカーに1回法用のものしかラインナップにないなら、前述のような複雑な症例に対応しがたいため、そのメーカーは初心者向けと言えるかもしれない。
現在、当医院ではほぼ全て2回法で処置行っているが、これは単純なインプラント治療より、骨移植、歯周外科処置を伴う必要があるシビアなケースが多く、患者さんもより機能的側面は言うに及ばず、審美的要求も高い方が多いからである。
以前ITI社のものを使用していたが、当時は1回法のものしか無く、骨移植を伴う必要がある場合、けっこう面倒な術式を応用しなければならず、これを嫌って他メーカーにスイッチした経緯がある。
その後、ITI社も2回法用インプラントを発売し、当医院において1回法で行った症例で17年前に処置したケースも、問題なく経過しているので、このメーカーが劣っているという訳ではない。
どのようなメーカーのどのようなタイプのインプラントを使用しているかで、その歯科医院のおおよその実力を知ることも可能かもしれない。