医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

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2016.09.19審美治療は単に見かけをキレイにするものであってはならないということ

審美歯科も間違った伝わり方をしている。
我々歯科医の治療における最終目標は、まず第一に失った口腔機能(狭義では咬合)の回復なのであり、審美に優先順位を明け渡すことはありえない。
一部の動画サイトなどで、歯並び悪いのが、きれいに仮の歯が入りました、「最新のCAD/CAM」で、その日の内にきれいになりました・・・的なものがあるが、素人目には分からないかもしれないが、何本も抜歯、神経治療を行い、ダウエルコアで無理やり歯の向きを変えているケースを多く目撃する。
咬合も無茶苦茶で、オープンバイトのまま、前歯で緊密に噛めないだろうな、というのも多い。
何年、何十年後かに、必ず問題発生すると、キッパリ言い切れます。


その様な方法も歯科医と患者がお互いに納得づくなら、そして、短期間に治療成果を出したいというのならば何をしてもいいということかもしれないし、様々な事情を考慮して、その治療計画を選択せざるを得なかったのかもしれないし、事実そのような状況に直面することもあるので、全否定というわけでは決してない。
もし、そうでないなら、単なる美容なのであって、とても治療と言えるような行為ではないが、そもそものスタートライン、そしてゴールが違うのなら、致し方ない。

過去に顎関節症から、矯正治療を提案したものの受け入れていただけず、下顎前歯以外の全てを補綴で対応して解決したケースがある。
古くて適合不良、審美不良の補綴物がたくさんあったので、それらの除去と再製作には何の抵抗もなかったが(患者さんはそれらの治療に対するご不満もあったので)、
全く無傷の歯牙を14本補綴することのなり、無論、実際に削合する前に様々なシュミレーションを行い、補綴で解決できると確証を得てから実際の治療を行ったのだが、やはり実際に形成するとなるとちょっとビビった。
複雑なインプラント治療、歯周外科治療と違い、全くあと戻りができないので。
治療後約10年経過し、今も全く問題なく経過してる。(厳密には旧世代のオールセラミックスクラウンが2ヶ所割れたが。)

一般論として、あまりにも患者に迎合することは、そして、あまりにもそのような治療が多いとなると、歯科医としての良心なり、プライドなりがどこにあるのか、そもそも、そのような治療の科学的根拠はどこにあるのか、
患者がそうしたいから、そうしましたで本当に通用するのかどうか疑問に思える。
患者の希望に、科学的考察なしに迎合し、そのまま進めてゆくことがいいことなのかどうか。

私の場合は、患者さんに本当に治療する気があるのかどうか見極めさせていただき、真剣味に欠ける、あまりにも楽観的、本当に治療する気があるのかないのか分からないような方には、少々厳しいことも言わせていただいている。
できることはできると言うし、できないことはハッキリできないと伝える。
無論、治療の成否のリスクも含めて。
その位でないと複雑な治療は成功しないし、治療終了してからの長期の安定は望めない。
治療することが目的なのではなく、機能的、審美的l口腔機能の回復が長期に維持されなければ、その治療は成功とは言えないと考えるから。
安直な抜歯で審美目的を達成することも結構だが、それとバーターとして、抜歯すること、神経を治療すること、ダウエルコアで無理やり歯の向きを変えること(ダウエルコアで方向を変更できるのもルールがあって、限界もある。歯根からくの字型に方向を変更など危険極まりないこと。)、さらには、大がかりな補綴物を装着することへのリスクと警鐘、予後が本当に語り尽くされているのかが一番の問題である。
また、他の部分が放置状態で、単に前歯が機能には目をつむり、とりあえずは綺麗になりました、ただ、それだけであることも問題。
どうするのか知らないが、虫歯、歯周病に罹患した奥歯へは何も手をつけられていない。
綺麗になりましたと言っても、私から見ると???なのだが。
安直な治療のリスクを歯科医自身が理解していないなら大アホだし、そんな大アホ歯科医が敢えて複雑にして自分の首を締めるような治療内容を精密進めて行けるとも思えない、また、リスクを理解していも患者に説明が正確になされていないならもはや傷害の片棒担ぎだし、逆に患者側が安易な治療に固執するなら、リスクの大部分は患者に帰属する。

少なくともこの様なケースは私の医院では殆どない。
なぜなら、状態を精査し、いくつかの治療計画を立案し、それぞれのメリット、デメリットを説明すると、その様な安直かつリスキーな治療を希望される患者さんが殆どおられないから。
それと、コンポジットレジン充填もまともにできないのに、審美歯科を語る資格はない。