医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

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2016.08.19ようやくマトモな話の、第7弾 週刊ポスト「やってはいけない歯科治療」

ようやくマトモなコメンテーター登場で、インプラントの現状がよく語られている。
今までの支離滅裂、行き当たりばったり的な視点から、一つのものにフォーカスを絞り、掘り下げていることは評価しよう。
まだまだ甘くて、闇も深いが。
明らかに混乱が起きていることを認識してもらいたい。
いい迷惑である。

でも、なぜ取材ソースが開業医ばかりで、公的組織へ意見を求めないのか不明だ。
なぜなら、開業医は大なり小なり「流派」が存在するからだ。
今回はそうではないが、中にはとんでもないものもあり、もはや宗教といえるようなものまである。
患者はたまったものではないが、妙に支持されていたりもする。むろんそれなりの人々にだが。

しかし、いつもインプラントがやり玉に上がるのは不快である。
私には実害はないが。
インプラントは無論、かたっぱしから抜歯したり削ったりし、適合不良な補綴物を装着し、ぱっと見た目素人目にはきれいになっていてもプロから見るともはや犯罪レベルな審美歯科、とか、機能の伴わない矯正とかで無茶する輩も多いが、所詮、保険外診療で絶対的マーケットは小さい。
ご丁寧位に動画サイトにアップされていたりもするが、訴訟沙汰の証拠なのに、患者自身も分かってないということか。
それ以上に一般歯科での無茶ぶりのほうが根が深いと思うが。
脱線するが、タレントの箕輪はるかの歯を治療するという企画のTV番組があったが、矯正治療を組み込まずの治療であるため、非常にバカでかい歯になってしまっており、本当に審美的に治っているのか疑問に思ったこともある。
明石家さんまは確信犯的にあのような歯科治療を行ったそうだが。

以前にも書いたが、歯科材料店、歯科技工士、スタッフなど、歯科医以外の関係者に取材すると、ぶったまげるような事が聞けると思うよ。

患者の承諾なく、何も説明無きまま無理やり抜歯し、インプラント治療を行っている歯科医がいることは伝え聞く。
本文中にもあるが、抜歯は全て悪というわけではなく、戦略的抜歯が必要な場合も存在する。
逆に、無理に残し余計に複雑、予後の短縮を起こしてしまう歯科医もいる。
要は診断力の問題。
また、ブリッジを除去してブリッジを再製作するのではなく、前後の歯牙保存の観点から単独で温存し、欠損部にインプラント治療を行った方がいい場合もある。
動揺のあるブリッジ支台歯で本来抜歯すべき歯牙を保存し、中間にインプラント治療を行い、動揺に収束に成功したケースを本Blogでも紹介した。
ただし、インプラントと比較してクラウンーブリッジの方が治療プロセスが複雑で、より歯科医の技術レベルが問われる場合が多いことには触れられていない。
設計、歯周組織マネージメント、プロビジョナル・レストレーション、形成、印象、、、、、、。
CAD/CAMを使えばほぼ全ての工程をマニュアル通り、マシーンメイドできるインプラント上部構造と違い、逆にほぼ全ての工程がハンドメイドであるクラウン−ブリッジにおいてマシーンメイドと同程度の精度を確保しようとするなら、相当技術力が必要となる。
本文中には何も書かれていないが。
形成された歯牙模型を見れば、その歯科医のレベルは分かるというもの。
模型を見せてもらうなり、貰ったりすればよい。
マージンが不鮮明、波打っているようではアウト。
自らはインプラント治療を行わず、というか出来ないから丸投げ、上部構造のみ行う歯科医もいる。
インターディシプナリーなどと洒落たものでは全く無く。
これもどうかと思うが。

オルソパノラマ写真掲載の前歯部ケースは、写真が不鮮明なので何とも言えないが、通常はブリッジ治療が正解だろう。
(根管治療、ダウエルコアに問題ありそうだが。)
他の前歯の状態も悪そうで、本当にブリッジ治療可能かどうかは何とも言えないが。
妙にインプラント治療行ってしまうと、隣の歯がダメになった場合、次々とインプラント治療が必要となることは予め説明すべきだが。
動揺度の違うインプラントと天然歯は連結してはならないので。
このようなケースでもインプラント治療を行い、得意気に専門誌に掲載しているケースも多いし、誰も批判しない。
安物インプラントの話も正解。
そのような物を求める人もいるから、安物インプラントの存在を否定はしない。
例に上げられている某社のもの、確かにトラブルも多いが、安さゆえに技術レベルに劣る歯科医が多く使用するということも要因の一つだと思う。
世界的な評価はないが、日本で特に地方都市で人気がある。
都市圏でも、安売りインプラント歯科医院では需要があると聞く。
もっともっと安物の某国製のものもある。
使用インプラントの世界的、日本的シェアもよく調べたほうがよい。
シェアが大きいから、いいとは限らないことに気がつくだろう。
彼らが一流メーカーインプラントを使用したところで、成功レートが上がるわけではない。
以前にも記したが、熟練した歯科医が安物インプラント使用したほうが、稚拙な歯科医が一流インプラント使用したより予後は確実に良いと思う。
まあ、熟練した歯科医が安物インプラントを使うことはないのだが。
私の医院でもインプラント治療費が高いと言われたことがあるが、何と比較してというと・・・安モンインプラントであるので、話にならないし、別に安物と対抗しようとも思わない。
コスト優先なら、安いインプラントを提供する医院に行けばいいだけのこと。
メーカーのサポートにも差があるだろうが。
アパタイトコーティングインプラントは私は使用したことがないので何とも言えないが、いったんインプラント歯周炎に罹患すると悲惨なことになり、撤去した経験はある。
この場合、患者のメインテナンス状況にも問題大アリだったが。
チタニウムインプラントも表面処理が剥がれたり、その事実を改ざんしたメーカーもあるから、もはや何を信じていいのか分からない。
ましてや一般の方が、派手な広告から言葉巧みに誘導されてしまうことは想像に難くない。
私が使用するインプラントのひとつである、アストラインプラントも一時破折するとの報告があった。
調査の結果、規定通りのトルクで締め付けられていない、補綴物の設計の問題、ブラキシズムへの対応の甘さに起因することが判明した。
他のメーカーのものでも、インプラントフィクスチャー破折の報告はある。
私は経験したことがないが。
ワンピースインプラントも、使い勝手が悪いから私は一切使用しないが、全てダメだとは思わない。
上手く使えば有用な事もあるだろう。
実際に、当医院の2ピースインプラントで上部構造の設計変更を行ったケースも数例あるが、これも一番最初に患者さんに説明しておく必要があるので、治療計画作製の時、長期の予後の展望予測ができる力が必要となることは言うまでもない。
ワンピースは、某歯科医院の屋号にも取り入れている、大手メーカーにもラインナップあるから。

繰り返すが、私はインプラントなど、歯科治療のオプションの一つにしか過ぎず、全力で歯を保たす努力もせず、または
できもしない歯科医は手を出すべきでないと常々言い続けている。
インプラントは言わば最後の選択なのである。
ただし、ファーストチョイスになる場合も多々ある。
それはだいたい次のような場合。
・入れ歯を回避、元の自分の歯牙と同等に噛みたいという機能的、審美的要望がある場合。
・歯牙の削合を避けたい場合。
・強固な咬合ポイントを得たい場合。いわゆるヴァーティカルストップ、アンテリアガイダンスの確保。
・ブリッジで対応可能な場合でも、スパンが長くて歯牙に負荷がかかりすぎる場合、歯牙の状況があまり良くない場合。
などなど・・・・

歯科医側の問題ばかりでなく、患者側の問題も語る必要はあるだろう。
よく理解もせず、できずインプラントなどの複雑な治療は避けるべき。
安直に考え、治療後のセルフケア、メインテナンス、順守事項などを確実に行う自信がないなら、最初から行わないほうがよい。
インターネットで色々調べる事はいいことだが、全て正しいと思い込んでいる人も多い。
自分に都合のいい情報のみ信じる人も多い。
器用に間違った情報のみ信じている人もいる。
セカンドオピニオンも誤解が多いが、当たり前だが知識、経験豊富な水準以上の歯科医に意見を求めなければならないし、患者自身の都合のいい意見を聞いて納得することではない。
複雑な問題の解答方法を、バカばかりに聞いて回っても全く無意味。
これらの情報ベースで、頑なに自分の考えを変えない人もいるが、正直、私は必要以上には関わらないようにしている。
また、よくあるのだが、欠損部にのみインプラント治療を行えばよいと考える患者もいるが、たいていその他の部位にも問題山積で、それらを解決せず、インプラント治療のみ行っても何の意味もない。
外傷でも無い限り、特異的部分のみ歯牙が悪くなることは珍しい。
残念ながら歯科医でも分かってない人も多いが。
先日も他医院で治療されたものの、メインテナンスなしの放置状態でインプラント周囲炎罹患、上部構造の破損、その他の部位もぐちゃぐちゃ、という状態の治療相談を受けたが、患者の望むような入れ歯を使用しないリカバリーを目指そうとすると、相当のコストがかかり、結局どうにもできないようなケースに遭遇した。
ハッキリ言うが、これは自業自得であるし、今後どうするのかも関知しない。
もっとも、元々の治療自体もお粗末なので、患者のみの責任とも言えないが。
理解不足、誤認、思い込み→見通し甘い→放置状態→にっちもさっちも行かなくなって歯科医院受診→本当にきちんと治療しようとするなら時間、コストが相当かかる→治療断念・・・・よくあるパターンである。
治療開始できても、治療終了後、「まあ、大丈夫だろう。」と、また、見通し甘くなり、メインテナンスも行わずに放置状態ということも、相当ケースを絞り込んでいる当医院においては僅かではあるが発生する。
検証してみると、残念ながら元々の状態が悪いほどメインテナンスの離脱率、指示事項の順守しなくなる傾向が高くなるが、ルーズな相手に対し、そこまでは責任持てない。

さて、私の読み込み不足かもしれないが、この著者、既にインプラント治療を行っているのだそうだ。
是非ともその体験談、顛末を語ってもらいたいものである。
そして、それが本当に的確な治療なのかどうか検証、評価すべきであると思うのだが。
しかし、他の部位にも問題あって、その件で安売りインプラント歯科医院へ潜入レポしに行ったと書いていなかったっけ?
インプラントを行っていた歯科医院で定期的なメインテナンスを行っていたなら、その歯科医院でなぜ問題を指摘されなかったのか?抜歯してインプラントと言われた同じ歯科医院?指摘されたなら、なぜ治療を行わなかったのか?
結局取材の過程で訪れた歯科医院で経過観察の方がいいと言われたからそのまま?
私の理解不足かも知れないが、何かつじつまがあわない。

いつまで続くのか?