医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

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  • 第2弾 週刊ポスト「やってはいけない歯科治療」①

2016.07.04第2弾 週刊ポスト「やってはいけない歯科治療」①

第2弾が発売された。
またまた、ピント外れの記事も多い。
冒頭、詳しく書いてほしくないけれど、書かれていることは全て本当という50代歯科医の話は?
いきなり最初からずっこける。
下ネタと宝くじがよく当たる売り場の記事も併記なので、まあ、威厳ある、格式ある内容かどうかは?
読者層がどうなのかも?
この号で私が一番良かったと思う記事は、磯山さやか推薦の冷麺なのだけれど。
では、また、個々を検証してみよう。
PART1
・健全な歯牙まで抜歯してインプラントと言うのはどうなのか?
 単なる金儲けなら犯罪行為、傷害罪である。
 確かに、補綴設計上、そのような事も起こりえるが、常識的にはおかしい。
 ただし、親知らずはこの限りではない。
 歯牙を抜かずに残そうとするなら、それなりの付加治療、たとえば矯正治療等が必要になる場合が多いが、
 そのような治療の同意が得られない場合もあると思うので、ごちゃごちゃめんどくさいので、抜歯、インプラントとな
 るケースもあるのではないか?患者もその方が喜ぶ場合もあるのではないか?
 どこまで、説明がなされていて。理解がどこまで及ぶのかという問題はあるが。
・次に、全顎的治療の話なのだが、ここでいきなりAll on 4の話が出てくるところから胡散臭さ満載である。
 All on 4は適応条件が非常にあり、骨質が薄くて柔らかい日本人にはなかなか応用困難である。
 近年All on 6もしくはそれ以上の本数のインプラントを応用するが、1本の歯に対して1本のインプラントというのは
 明らかに過剰であるが、患者も納得しやすく、必要以上のコストを払わされているケースもある。
 ただし、ショートインプラントの使用が必要な場合はこの限りではない。
 通常片顎14歯無歯顎症例なら、6(ショートスパン化)〜10本のインプラントで十分対応可能である。
 コストは本文記載以上のものは必要で、特にびっくりするようなものではない。
・術後10年経過し、上部構造体に摩耗、破損が起きることはあり得る。
 広義としてのブラキシズムによる場合が多い。
 この辺りの補修計画を、術前にどのように説明していたかが問題だし、定期検診時の状態説明がないのは大きな問題。
 上部構造体の破損が引き起こす咬合崩壊への考察がお粗末と言わざるをえず、このような小さなきっかけの集積が大き
 な問題を引き起こす。
 アリが巨大なダムを崩壊させるたとえのごとく。
・残念ながら、メインテナンスがメインテナンスになっていないケースは、本ブログでも多数紹介した通り。
 何の提案もなく、様子見ましょうでそののまま、状況がどんどん悪化という事も多い。
・ナイトガードの使用がなかったのか甚だ疑問。
 多くの場合、ナイトガードの使用により問題を回避、ダメージの減少を目指せるが、歯科医側、患者の認識が甘い場合
 も多い。
 私の場合、指導事項を順守しない患者に対しての保証は一切行わない旨を、治療計画書、治療契約書、治療保証書に明
 記しているが、逆の場合はとことん保証する。
・ブラキシズムにより、上部構造体の破損はおろか、インプラントフィクスチャー自体の破折も起こる場合がある。
・まあ、本ケースの場合も患者にも問題アリのように思えてならないが。
・ブリッジの負の連鎖は前回の銀歯と基本同じであり、術前の診断、治療精度、メインテナンスが全て。
 また、大きなスパンのブリッジの場合だと、鑞着というステップを入れるだけで精度は全く変わってくるが、
 どの程度の医院において行ってるかは疑問。
 ブリッジと言っても、欠損部位の大きさ、即ちスパン、歯周病の状況、咬合状況、使用材質、その他の要因により、当
 然設計は変わってくるが、厳格に治療が進められれば長期間安定するが、それ以上に患者のブラッシング状態に左右さ
 れる。
 残念ながら保険診療においてのブリッジ設計は一律であり、そのベースには学術的根拠が全く無いというか、前世紀の
 遺物であるアンテの法則ベースなのは笑止千万である。
 当然、コンセプトが甘いなら、 保険外のPFMCrやオールセラミックスにしても意味は全く無い。
 コストかかる分だけ害も大きい。
・40代会社員、部分義歯かブリッジの例は意味不明。
 通常、部分義歯のほうが回数かかります。
・土台(コア)は今は使われないという話は全くの嘘。
 失活歯(神経のない歯)で、歯冠崩壊の大きい歯牙に関して、コアを入れないと補綴物の作製はできない。
 そもそも、コアと言う表現は間違いで、正しくはダウエルコア。
 金属でダウエルコアを作製すると、歯牙破折の原因になることもあるが、
 正確に作製するなら、歯周病、歯冠歯根比、咬合、フェルール効果、上部補綴物の種類・・・様々な要因を考慮して設
 計する必要がある。
 だいたいが甘い。
 状況によっては矯正治療、歯周外科処置も必要になる場合もあるが、安直に考えている、意識の低い患者には残念なが
 ら対応する事は困難。 
・最近、歯に優しいファイバーコアも保険導入されているが、テクニックセンシビティ。
・大きくたくさん削るも???であり、予防拡大はもはや死語。
PART2
・最初はごもっともな意見。安易なインプラント治療の実情は激しく同意する部分あり。
 インプラントは万能でもなんでもなく、単なる歯科治療のオプションの一つにしか過ぎない。
 しかしながら根管治療への対応はともかく、その他のインプラントを回避し、歯牙を残す具体的な方法は全く触れられ
 ていないし、結局、インプラント治療は丸投げ?という疑問はある。
 矯正?歯周外科処置?骨移植?GBR?補綴?行って、歯牙を保存する方法はあるし、私も実践もしているが、限界はあ
 る。根管治療由来での抜歯、インプラント治療など一部にしか過ぎず、逆に、全て根管治療で歯牙を助けられるわけで
 はないので、抜かなくても良い歯を抜いてのインプラント治療は誤解のもとであるが、これは取材側の問題?
 それと、歯ブラシのみで歯周病は決して治らない。
・MTAセメントの登場で、今まで抜歯となっていた歯根破折への対応も拡大されてはきたが、限界があることは
 認識すべきだし、マイクスコープ下でに治療の多くは保険適応とはならない。
 実例はBlog参照。
 歯内療法専門医は歯内療法しか行わず、後の補綴物は一般歯科に丸投げでお粗末、結局ダメになった歯を多く見てきて
 いる。根管治療に数万支払ったらしいが。 
 もっともその症例は「専門医」が行ったとてもとてもすばらしい歯内療法とは言えず、結局外科的歯内療法を私が行う
 ハメになってしまったが。
 後にも記すが、他の分野に疎い、連携が機能しないバラバラの「専門医」が集まっても何の意味も無い。 
・インプラントをやらない歯科医へのセカンドオピニオンも結構だが、A先生より知識、技術、経験の劣るB先生にセカン
 ドオピニオンを求めても全くの無駄なのだが、この辺りを分かっていない人も多く、結局、余計に泥沼にはまる場合も
 多い。
 難関大学の数学入試問題をその辺の普通の小学生に聞くようなもので、「やらないのではなく、できない」歯科医に
 聞いても全くの無駄。
 無論患者側も、自分の求める答えを求めてのセカンドオピニオンは間違いである。
 セカンドオピニオンはあくまでも知識、経験、技術(実際に自分でできるということ。口先だけなら誰でも、何とでも
 言えるから。)、豊富で、冷静な第三者的なコメントということである。
・抜きましょうと言われた時、根管治療というのがあると聞いたんですが・・・とは、特殊な例であり、とても一般論で
 はなく、ピント外れも甚だしい。
・抜かない歯科医は素人受けはするかもしれないが、全部が全部残せると言っているわけでは決して無く、
 鵜呑みにしないよう。
 こういう記事をパラノイア的に盲信する人は結構存在するが、これは一流患者、三流患者というような次元の話ではな
 く、それ以前の問題。
 仮に抜歯せずに残したとしても、その歯がどの程度安定しているかで評価は別れると思う。
 1〜2年持てば納得できるのか、10年以上持たないと満足できないかによって治療計画は大きく変わるし、
 妙に持たしたがために、他の部分に問題が発生し、余計に状況が悪くなることもある。
 要は歯科医の診断力ということ。
 私の場合も、一生懸命やっても数年でダメになるとお話させていただき、(無論、もっと大がかりな治療オプションも
 説明済)メインテナンスも行なっていたが、結局数年
 後にダメになってインプラント治療に移行というケースはよくあるが、患者さんも理解の上なので、時間稼ぎ的治療に
 なるが、自分の歯を残すという観点から、直ぐそれをダメだとは思わない。
 
 続く