医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

2016.06.06治療の流れ(保険外診療編)

前回と同じ条件で、保険外診療の場合。
同時進行的に行う初期検査、診査、歯周病治療、周辺諸手順等は複雑になるので除外します。

 1日目 疼痛部位への応急処置もしくは抜髄処置(神経治療開始)
     状況によっては仮歯の作製
 2日目 根管内洗浄(通常1〜2回)
 3日目 症状無いなら根管充填
     (ウォームGP、MTA 等使用)
 4日目 ダウエルコアの型とり
 5日目 ダウエルコア装着(75%金合金もしくはファイバーコアポスト)、
     プロヴィジョナルクラウンの調整
 6日目 型とり(保険診療とは使用材料、機材、術式が違います)、その他最終補綴 
     物(オールセラミックスもしくはPFMCr)作製にあたり必要な情報の収集(口腔内写真、咬合
     記録、フェイスボウトランス、etc・・・) 
 7日目 最終補綴物(ジルコニアフレーム、メタルフレーム)試適、適合状態のチエック、場合によりリマウント
 8日目 最終補綴物(ビスケット状態)試適、状況によってはこのプロセスが数回入る場合あり
 9日目 最終補綴物装着(仮着)、咬合、形態、色調等経過観察、問題あるなら再調整
10日目 最終補綴物装着

保険診療同様、以上の様に1本の歯の治療でも、最低限このくらいの回数は必要となるが、全ての工程はマイクロスコープ下での治療となるので、1回あたりの治療時間は保険診療と比較して相当必要となる。(2〜3倍は軽くかかろう)
ざっと書き出しても術式、手順、ここには書ききれない高価な使用機材、材料、そしてなにより必要となる時間、手間が全く違ってくる。
これがコストの差となる。

保険で良い治療をという歯科医も多いが、現実問題として、いかにキレイ事であることかお分かりいただけよう。
キレイ事でないなら、そこの歯科医師、家族、友人、スタッフ、皆保険診療で治療しているはずであるが・・・・・
また、逆説的ではあるが、保険外診療において、保険診療と全く同じ治療プロセス、最終補綴物のみの差というなら、手抜き以外の何物でもない。
ぱっと見かけ豪華絢爛の住宅上モノでも、地盤工事、基礎工事、内装は無茶苦茶ではダメ、
それなら、地盤工事、基礎工事がしっかりした、上モノはそれなりな家の方がはるかに安心である。
少なくとも素人である患者さんが満足する程度の治療ではなく、プロである自分自身が納得できる治療を目指したいが、当然そのハードルは高い。
ハードルの高い低いはその歯科医によってまちまちなので、さらに複雑になるのだが、患者目線とプロの目線が同じで良いわけがない。

保険外診療にある種の幻想をいだいておられる患者さんもおられるが、現実は厳しい。
十分治療内容を理解して臨んでいただきたい。
よく分からず、言われるがまま、無理して治療してもロクなことはない。
ご自身が後々のケアを行う自信もないなら、複雑、高額な治療を行うべきではない。
以前、自分は性格的にいい加減なので、複雑な治療を行っても後々きちんと色々な事を行ってゆく自身がないと言われた方がおられたが、他医院受診という選択も含め、複雑(この場合、保険診療も含め)、高度な治療はお断りさせていただいた。
価格が高い方が良質・・・ということは、そこに介在するプロの技術、腕の評価なしは絶対無い。
色々手間をかけ、高品質素材を使い、じっくり、ていねいに治療したのでコストがかかりますというのが事実。

以上のことから、私は保険診療を否定しているわけでは決して無く、また、いたずらに保険外診療を勧めもしないし、少なくとも私は保険診療を、決して手抜きをしているわけではないので誤解なきよう。
ただし、保険診療では解決できない問題、使用可能な材質の耐久性に関しての問題等多々あるが、こればかりはいかんせん、どうしようもない一線が存在するのも事実なのでご理解頂きたい。
保険診療は決して数十年前のテクノロジーベースで、最先端のものではなく、国誘導で設定されたものに過ぎないのだが、国の行う福祉行政、年金にしろ何にしろ、納得している国民がいるのかどうかという観点からもよく考えていただきたい。

せっかくの制度なのだから、要は上手く使い分ければいいということ。

繰り返すが、よく考え、ご相談され、本当にご自身が必要とする治療を見極る事をお勧めし、逆に、理解無きまま、言われるがままに複雑かつ高額な治療を無理してされることは、ろくでもないことになるので避けられたほうがいいです。