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2016.04.12「一流患者と三流患者」 医者から最高の医療を引き出す心得、という本

一冊の本を紹介したいと思う。
中々、刺激的なタイトルである。
患者さん目線と言いつつ、キレイ事ばかりで、医者側からの視点という本は今まで中々なかった。
みんな、医師なら誰しも心のなかでは思っていることなのだが・・・・
1人の医師、それもガン専門医がガンになった体験から、一医師として、一患者としての体験談、患者としての心構えである。
大前提としての医療制度がアメリカとと日本では大きな違いが有り、アメリカでまともな、さらに先進的な医療を享受しようとするなら、相応の高額な保険料(民間)を支払う必要があり、その恩恵を被れるのは人口の30%にも満たず、様々な問題を抱え、最先端の治療を享受できるとはとても言えないものの、良くも悪くも国民皆保険である日本とは、当然階層も全く違うものとなることは予め知っておく必要はあるが。
歯科にも通じる部分は大きい。
同様の考え方は2015年9月25日のBlogに記載した通り。
このBlogにも、そして私の治療基本理念において述べているが、歯科の場合は直接生死に関わることがないからか、しかしQOLはものすごく関係あるのに、そして医学の進歩により、より高いQOLを実現可能であるにもかかわらず、この本に書かれているように記するなら、医科以上に三流患者に甘んじている方と多々遭遇する。
別に患者に対して上から目線だとか、患者をバカににしているとか、高額な治療をお勧めとか言うような低次元の話ではないし、そもそも、我々医療従事者、施設にも一流から三流まであるのは重々承知の上だが・・・・

要はご自身の状態、治療方法などを努力を惜しまず情報収集し、医師とディスカッションして、科学的根拠に基づいた最良を治療方法を見つけようということ。
全部おまかせではいけないし(それだけ信頼していただけるということは、医師として幸せなことだが。)、信頼関係の構築とは、決して一方的なものではないということ。
ましてや、自分の事であるにも関わらず、無関心、ルーズ、治療に非協力的では結果も出ず、話にならないし、
このような方は、本当に上手に次々とジョーカーを引き当ててゆく・・・・
あなた自身が真剣にならないなら、それ以上に赤の他人の医師は真剣にはなれない。
患者と医師は二人三脚、歯科の場合、口腔内に人工物にて機能、審美回復し、治療を完結することが多いので、
後々のケアも非常に大事である。
治療終了後5年、10年、それ以上というスパンで考えると、予後には大きな差が出てくることも経験済み。

著書の最後部分に、要約として「患者さん自身が医療に参加する」、「参加する努力をする」という部分がある。
これこそが、「患者さん主体の医療」なのであって、口ばかりで学術的、技術的に未熟にも関わらず、いや、お粗末この上なくとも、愛想振りまいての患者さんのご機嫌取りや、胡散臭い、医学的エビデンスにない、でも「素人」にはインパクトのある似非医学を振りかざすことでは決して無い。

この本の延長線上には、昨今の救急車の安易な利用、医療機関のコンビニエンス受診、医療機関内暴力等、患者自身の問題等、現実は相当ひどいものがるのだが、どうも患者=弱者視点でしか報道されなく、無駄に医療費が消耗されている。
歯科においても、大した理由もなく、単に見通し甘く、ルーズで治療を中断し、通っていた歯科医院には行きづらいのか、歯科医院を転々とする患者もいるが、正直、どの医院にも相手にされない事を、当の本人は全く分かっていないし、
この本以前の問題である。

一度購読されることをお勧めする。

ちなみにこの著者と私は、高校時代のクラスメートでもある。
彼を含め、日本で、世界で活躍する同級生には刺激をもらえる。
宣伝しても、マージンはもらっていない、念のため。

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「一流患者と三流患者」
医者から最高の医療を引き出す心得
上野 直人
ISBN:9784022736628
定価:821円(税込)
発売日:2016年4月13日
新書判並製 216ページ 新書562
一流の患者と残念な患者。
今、病院のなかでは、「患者格差」が生まれています。
医療格差じゃなくて患者格差? 
と、お思いになるかもしれません。
そうです、患者さんの「差」が治療やその後の健康に大きく関連するようになってきているのです。もっと言うならば「病院ランキング」よりも、ご自身の「患者ランキング」を問いなさい、ということです。