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2016.04.05再生医療で歯周病を治す 自分の幹細胞が歯茎や骨を再生、すでに手術成功例も 大阪大歯学部病院

盛んにメディアが報じていたが、まだ、詳細を論文を読んだわけではないので詳細は不明だが、ES、ipsから「歯」自体を作り出せる現在、それほど驚くようなことでは無いと思うけれど。
元々の歯周病進行度も骨欠損形状不明、Periodontal pocket 4mm✕2mmと微細であり、また、写真から判定する限り、前後の水平的骨吸収の改善は全くないので、これをもって歯周病治療成功といえるのか、また、あえて複雑な幹細胞からの再生でしか、もしくは本当に幹細胞由来の骨で再生を目指すしか治療方法がなかったのかは疑問。
3〜4壁性骨欠損の場合、多くは根面のルートプレーニング、咬合関係の改善で解消するケースが多い。

日々の臨床では喪失した歯槽骨、歯肉(上皮、結合組織)を回復させるため、大量に欲しい場合が多々ある。
現在は、自家骨、他家骨、人工骨(β-tcp等)による骨移植、他の部分からの軟組織移植となるため、特に軟組織は採取量に限界があり、また、外科侵襲度も非常に高い。
今後の発展に期待したい。

状況によっては、そこまで大層な処置を行わずとも回復可能な場合もあり、それは次回紹介したいと思う。


以下、記事から転載。

再生医療で歯周病を治す 自分の幹細胞が歯茎や骨を再生、すでに手術成功例も 大阪大歯学部病院


 成人の8割が罹患(りかん)しているといわれる歯周病。歯茎や歯を支える骨が壊され、歯を失う大きな原因ともなっている。そこで、欠損した部分におなかの脂肪から取り出した幹細胞を移植し歯茎や骨に再生させる、という研究が大阪大歯学部付属病院(大阪府吹田市)で進んでいる。世界初の試みとなる1例目の患者の手術はすでに成功。治療法を開発した村上伸也教授は「自己の細胞なので副作用が少なく、簡単な手術で安全に治療できる。臨床研究を重ねて早期に普及させていきたい」と話している。(坂口至徳)                  

 歯周病は、歯垢(しこう)に含まれる細菌が引き起こす炎症で、歯茎や歯槽骨などの歯周組織を溶かし歯周ポケットと呼ばれる隙間をつくる。そのため、歯がぐらついて抜けたり、歯茎がうんだり、出血したりする。最近では、歯周病は口の中だけでなく、糖尿病や動脈硬化など全身の疾患に悪影響を及ぼすことも指摘されており、生活習慣病の一つとされている。
 村上教授らの治療法では、まず、患者の腹部の脂肪を採取し、骨や筋肉などに変化する性質がある幹細胞を採り出し培養する。この幹細胞を歯周組織が失われた部分に移植。幹細胞は時間をかけて骨や歯茎の細胞に変化する。「移植した幹細胞は、骨の再生を促すタンパク質を分泌しており、歯槽骨の形成を助ける」と竹立匡秀(たけだち・まさひで)助教は説明する。 
 1例目の患者となったのは、兵庫県在住の40代の女性。同病院で歯周病の治療を受けた際、右下前歯の歯周組織が幅2ミリ、深さ4ミリほど破壊されていることが分かった。竹立助教から、臨床研究の説明を聞いた上で、研究の参加に同意した。腹部から採取した脂肪組織から、幹細胞を分離して2カ月間培養。昨年1月に細胞の移植手術を実施した。局部麻酔をして1時間ほどの手術で、入院の必要もなかった。2週間後には歯茎は通常の状態にもどり、9カ月後のエックス線検査で歯槽骨が再生していることを確認した。
女性は「歯周ポケットが消えてうれしい。高齢になっても歯が抜けることなく安心して食事ができます」と喜んでいる。
 これまでも、進行した歯周病については、人工膜を使ったGTR法などの再生治療が行われていたが、欠損部分の進行度など、適応するには制限があった。
 脂肪組織から採取した幹細胞を使った治療法であれば、特に制限はなく、さらに自分の細胞を移植するため拒絶反応も少ない。埋め込むだけで骨などの細胞ができ、失われた歯周組織を作り上げることになる。患者の負担も大きくない。

手術前は歯槽骨が欠損した部分がエックス線撮影で黒く写っていたが、移植から36週間後には歯槽骨が増殖して白っぽく写っている(大阪大歯学部付属病院口腔治療・歯周科提供)
 研究グループは来年春までに12人を対象に臨床研究を行い、安全性や有効性を確認する。村上教授は「研究に参加して、すでに治療した患者については、術後も順調に経過している。慎重に検討したうえで早期に一般の医療として実現していきたい」と意欲を見せる。
 天野敦雄・同大学院歯学研究科長は「健常な歯周組織を取り戻す再生医療は大きな課題。実現に向けて積極的に進めていきたい」と話している。