医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

2016.03.27平成28年度保険点数改定講習会

3月26日土曜日は診療を午前中とさせていただき、2年に一度の保険点数改正講習会に参加した。
残念ながら保険診療は、学術的、臨床的事実とかけ離れた部分で独自路線を貫いているような気がしてならない。
まあ、今回の改正で良い面もある。
第一小臼歯支台ブリッジに前装冠が算定可能になった事。(ただし、耐久性は疑問。強度な咬合力、パラファンクションに対し、安易な適応によるトラブル増加が懸念される。)
同一患者においてブリッジ部は適応されるが、反対側がブリッジでない場合は適応されないという審美的にも中途半端な適用要件。
ファイバーコアポストが保険算定可となったことくらいがトピックス。
ファイバーコア自体は以前よりあり、当医院においても保険外診療に用いてきた。
それまでの金属製スクリューポストと違い、歯牙と同程度の柔軟性を有することから、歯牙破折が起きにくいとされてきた。
しかしながら、歯牙への接着がテクニックセンシビリティーであり、いくら歯牙に接着するといっても、様々なルール無視で行っても上手くはいかないのだが、一部の歯科医の理解は低く、散々なケースに遭遇する。
本来、根管内の完全洗浄、処理、乾燥、接着・・・・と非常に手間がかかる。
根管治療において4根管治療、C-shape、への評価が出たことはいいことだが、
統計的に4根管は40%位、私自身の臨床経験でも同程度あるけれど、何を今更感は否めない。
単に大臼歯は3根管と長い、長い期間決めつけていただけである。
また、それらの治療算定において保険診療において顕微鏡とCTの使用が前提だが、顕微鏡はともかく、CT使用はどうなの?というのが率直な気持ち。
CBCTでは、ピクセル、スライス幅から、根管形状がハッキリつかめるほどの性能はない。
不要な被爆が増えるだけ?
あと、以前より存在するが、かかりつけ歯科医云々で保険請求が違ってくる件、これは歯科医と患者がお互いに同意して初めてかかりつけの位置づけを獲得できると思うが、非常に一方的なシステムである。

保険診療は日本が世界に誇れる良いシステムであり(それが原因で国家破錠への道を突き進んでいるが)、
私も全てを否定する気はないが、少なくとも歯科において、何十年も最新治療が導入されていない。
一部されてはいるが、とてもペイできるような保険点数ではなく、また、高度な知識、技術が必要で、極一部の歯科医しか対応できないのが現状。
一般の方の誤解も多いが、旧態然としたシステムのくせに様々なルール、制約があり、先端治療とはいえない。
審美、機能回復、耐久性も患者さんが考えるほど面倒見はよくない。
保険診療と保険外診療にはハッキリとした一線が存在する。
何年か前に、小臼歯部へのCAD/CAMレジンクラウン導入されたが、各メーカーが能書き垂れるほどのものでもなく、
中には当医院で使用するプロヴィジョナルクラウンより酷いものもあり、ほとんど行っていない。
対患者向けに、保険で良い治療をと言う歯科医もいるが、そんなものはリップ・サービスにしか過ぎず、鵜呑みすればバカをみる。
その歯科医自身が、家族が、友人そして実情をよく知るスタッフが歯科治療するのに、本当に保険診療行うのか聞いてみたいものだ。

キレイ事が多すぎるし、そのキレイ事に振り回されている人も多すぎる悲しい現状である。
保険外診療でコストをかければ素晴らしい治療が可能かと言われれば、歯科医間の格差が激しいお寒い事情も存在するので、一体全体、何を信じたらよいのか混沌としているのが実情なので、信用できるのは実績、臨床成績、そしてそれらを探り当てる患者力としか言いようが無い。