医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

2015.10.19歯周病治療薬

当医院Web siteにも書いたが、薬局に行くと歯周病治療薬なるものが売られている。
私の立場からするとなぜあのような物の売ることが可能なのか不思議である。
単純な歯肉炎ならわかるが、歯周病に罹患状態に対して、表面から歯周病治療薬をいくら塗りたくってもムダである。
ちなみに、歯肉炎と歯周病の違いをハッキリ定義できるか、あなたの主治医に聞いてみよう。
多分、ポケットが深いとか、骨が吸収しているとかという答えが返ってくるかもしれないが、それは間違いである。
裏を返せば歯肉炎と歯周病の違いをハッキリ定義付できないのに治療が行われているということ。
では、なぜ歯周病に罹患しているのに、表面から歯周病治療薬をいくら塗りたくってもムダなのか?
歯周病は歯肉溝内のプラークが歯周組織を破壊し、アタッチメントロスを引き起こし、さらに深部に炎症が波及すると、歯根面セメント質が壊死し、その上部に縁下歯石が蓄積する。同時進行的に歯槽骨の造骨細胞と破骨細胞のバランスが崩れ破骨細胞優位となり、歯槽骨の吸収が進行する。支えである歯槽骨の吸収が進行すると歯牙の動揺が増大し、最終的には抜け落ちてしまう・・・というのが歯周病のごく簡単な流れである。
かなり進行するまでは症状は出ず、症状が出た時には手遅れのことも多く怖い。
ということなので、歯根面が汚染されているのに、歯肉の表面から何を塗りたくっても全く効果はない。
錆吹いている表面を錆の除去せず、下地処理もせずに単純に上から塗装しているのといっしょ。
表面の歯肉炎症は少々改善するであろうから、治ったと思っているだけです。

歯科医院においても歯周ポケット内に塗布する抗生剤ペーストがあるが、私は一切使用しない。
歯周病に対する根本治療を行うことを大前提としているため、そのようなものを塗布する必要がないからである。
患者さん自身がメインテナンスがしっかりできない事情があるならまだしも、毎月、毎月、歯周病の消毒と称して来院を促す歯科医も多いが、理由をよく聞かれたほうがいいです。
そのようなケースを多数診察してきているので、要注意である。