医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

2015.06.09サイナスリフトの話 その2

さて、この患者さん、全額的に問題があり、特に左上の歯牙が虫歯、歯周病で保存不可のであり、抜歯となると入れ歯かインプラントとなるのだが、前医により骨がないからインプラントできないと言われ、当医院に来院されたケースである。

副鼻腔の既往歴があるとのことでCT撮影、耳鼻科的診断、上顎洞粘膜が一部肥厚、一部は極めて薄いこと以外問題なしと判定。
抜歯と同時に垂直的に自家骨(今回は抜歯時に上顎結節から)+Bioss+βTCP製剤を適材適所に秘密の混合レシピにてサイナスリフト。
炎症性組織が多く確認されたため同部掻爬、また、インプラントフィクスチャーを初期固定でき骨が皆無のため、念のためインプラント埋入は同時に行わなかっった。
サイナスリフトは大きく分けるとこの様に垂直的に行う方法、横から行う方法、そして残存骨が比較的存在する場合に行うソケットリフト法があるのだが、状況によって使い分け、もしくはコンビネーションする必要がある。
骨移植が終わった状態、吸収性メンブレンにて移植マテリアルを覆ってある。
翌日少量の鼻出血があったが、想定の範囲内でその後問題なく経過。
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1.5ヶ月後にインプラントオペ。前回移植した人工骨が骨化過程にあるのを確認しインプラント埋入、この時もさらにBiossによる骨移植を行う。
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6ヶ月後2次オペ、ヒーリングキャップ装着。本来なら歯肉パンチアウトで済むのだが、念のため少しだけフラップを開け、治癒状態を確認したが、インプラントフィクスチャーベベル部分まで骨が盛り上がっているのが確認できた。
この段階で軟組織移植などが必要になることも多いのだが、今回は回避できた。
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この後、ある程度の治癒を待って2週後にプロビジョナルクラウン印象、装着。
さらにアトランティス・ジルコニアアバットメント+オールセラミックスクラウンにて補綴処置予定。
ということなので、骨がないからインプラントできないというのはできない歯科医の単なる言い訳である。
上顎と違い、下顎は別の意味で骨の高さ、幅に問題あってインプラント埋入困難なケースもあるのだが、
これはまた違うテクニックを用いて対応してゆくことになるので、また、別の機会に紹介したいと思う。
勿論、全く骨がなく、人工骨でも限界がある場合腸骨からブロック採取し移植することもあるのだが、これは整形外科医の協力も必要であり、病院口腔外科の範疇となり私にも無理であることはお断りしておく。