医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

2015.06.02サイナスリフトの話 その1

上顎には上顎洞という空間が存在する。
ここに慢性的炎症が発生し膿が貯まるといわゆる副鼻腔炎、蓄膿症というやつである。
上顎にインプラント治療を行うに当たり、骨の高さが不足するとインプラントフィクスチャーがこの上顎洞に突き抜ける
ような形になり、それではまずいので、上顎洞内に骨を移植などして増やす処置が必要となる場合も多いのだが、
なかなかテクニックセンシビリティな処置で、歯科医なら誰でもできるというものではない。
術式、移植材料も様々な方法がある。
インプラント治療を手がける歯科医は40%位、その中でサイナスリフトなどの骨移植治療可能な歯科医は10%もないと思うのだが、それとは裏腹に上顎の場合サイナスリフトを行わなければインプラント治療できないケースが、経験的には40%位、当医院では他医院で断られた難症例が多いので、60%位あると思う。
現に、日本におけるインプラントフィクスチャーの販売本数と骨移植材の販売数との間に前述のような相関関係があり、
インプラントフィクスチャーの本数から考えると骨移植材販売数、関連器具、機材の販売数は異常に低い。
複雑な治療を避けて簡単な治療のみ行って、インプラント、インプラントと言ってるのも、風邪しか治せない内科医、盲腸しか治せない外科医みたいでどうなんだか。
骨が薄いからインプラント治療「できない」と言われた方、それは歯科医側の問題であり、あなたの体が悪いわけではないのです。
その歯科医の「できない」を正確には翻訳すると、「自分にはサイナスリフトを行うだけの知識も技術も経験もないので、それらの経験豊富な先生のところでご相談されることを強くお勧めしますが、そんなことを正直に言うのは私のプライドが許さないので口が裂けても言えませんので、治療不可能ということにしておきます。」ということであり、本当は治療可能な歯科医院を紹介するのが良心でもあると思うのだが、「治療不可能」という話にすり替えられ、患者さんも丸め込まれ為す術なしで諦めてしまうケースも多い。
上顎に限らず、下顎でも骨が薄い、厚みがないというようなケースには頻繁に遭遇する。
サイナスリフトの流れ1症例。
術前写真
両方の歯牙共破折、根の先には膿、肉芽組織が確認され、グラグラ状態。
ペリオドンタルポケットは10mm以上存在で、ほぼ根尖まで骨がない状態。
通常のレントゲン写真では確認しづらいが、CTにより上顎洞までの骨は極めて薄い事が分かる。
CTでなければこの様な骨の状態は確認不可能であり、初心者は見かけの骨があるものと考え安直にソケットリフト行って失敗、上顎洞内に人工骨ばらまいて炎症を起こさせてしまい大変なことになる可能性がある。
DSC_4379.JPG
同CT
DSC_4389.JPG
続く。