医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

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2015.05.16インプラント治療など複雑な治療を行わない方がよい場合もあること

以前インプラントの優位性について書いたが、インプラント治療を行ってはいけない方について。
インプラントに限らず治療全般、特に高度な治療、さらには医科治療全般にも言えるのだが。
今日、医療が進歩しそれらの情報が溢れる中、残念ながら接近して一体にならなければならないはずの医療と患者の溝は広く、深くなる一方に感じ、治療自体に閉塞感を感じることも多い。
求める情報を的確に収集し、最適化し、より良い医療を享受できる方とそうでない方の差も大きくなってきている。
しかしながら、まず、医療側の知識的、技術的差もどんどん大きくなってきており、そのような中患者の取り合い合戦となるのだが、悲しいかな最初から本質的な学術的研鑽を怠り、放棄して別の部分、即ち素人である患者受けしようとどうでもいいことに必至な方も多いことを反省すべきなのかもしれないが。
捉えようによっては患者さんにとって大変失礼なことかもしれないが、その辺りをあやふやなまま治療が進められ、
トラブルに発展するという例をよく耳にする。
デフォルトは患者=弱者ということで話が進行してゆき、一般の方に目が触れるような形で医師、医療側からの困った患者、複雑な歯科治療を行わない方がいい患者について語られることはほとんどないのだが、ダメな医療とダメな患者が絡んで複雑、悲惨になっている状況も多い現在、この際、本音をお話したいと思う。


1・積極的に自分で治そう、治ったらその状態を維持してゆこうという気がなく、自分自身の事に無関心、
  意識の低い方。

  我々は治すお手伝いをするだけ。治すのはあなた自身です。
  たまに治療を行う気があるのかないのかハッキリしなく、何を行うために来院したか理解に苦しむし方に遭遇する。
  時間がない、忙しいなどの理由で治療されず放置状態で重篤な状態になっている方にも遭遇する。
  重篤になればなるほど元と同じような治療を求められのならば時間もコストもかかる。
  保険診療も応急処置的治療を繰り返すためにあるわけではない。
  率直に言うが、ご自身がどうでもいいと考えているのなら、自分自身の歯を大事にしよう、
  きっちり治療しよう、何とかしようと考えていないなら、我々にそれ以上の思い入れはなく
  どうでもいいことである。
2・ネット、友人、知人(プロではない、プロでも怪しい人いっぱいだが)などの情報を鵜呑みにして
  頭のなかがいっぱいになり「自説」に凝り固まっている人、分ってないのに分かったような気になってる人・・・・
  意外と多くて困る。
放射脳系とか健康サプリ大好き系とか、TV、ネット情報鵜呑み系もこの中に入る。

  色々情報収集、研究されるのは大変いいことだが、ちょっとググって上位に表示された1つ2つの情報が
  真実と思い込んでおられるような情弱な方、怪しげな民間療法や医学的根拠の無いもの、エセ医学、
  非常に特殊なケースをさも通変的なものと考えられても困る。
  セカンドオピニオンも大いに結構だが、自分に都合のいい話をするドクターがいいドクターではないし、???な
  ドクターのセカンドオピニオンには何の意味も持たない。
  困ったことに、科学的根拠のない怪しげな自説を主張するドクターもいるのだが。
  近視眼的になり全体像が全く見えてない、木を見て森を見ずという状態に患者は言うに及ばず
  歯科医自身も陥っている場合があるのは残念だ。
  よく分かっていない素人同士の話が変な方向にエスカレートしてしまうこともある。
  以前、食事をしていたら隣のテーブルにおられた数人の中・高年のグループが入歯とインプラントについて
  話をされていたのだが、これが全くのピント外れ、間違い、どこからそんな話を聞いたの?誰が言ってるの?
  と突込みを入れたくなるような内容であった。
  どうもその方たちが通院されている歯科医院もとんでもないレベルであることも推測されるが。
  誰々さんがああ言っていた、こう言っていたと素人の茶飲み話がひとり歩きすることも多くて本当に困る、
  いや、迷惑だ。
  信じる信じないは個人の勝手だけれども。
  おかしな情報が溢れている、怪しげな治療を推奨するのは歯科医側にも責任の一端はある。
  本当に正しい情報は最新の専門書の中にしかない。まあ、これも色々あるけれど・・・
3・治療に対する理解が得られない方。

  少なくともご自身がどの様な状態であり、治療の選択肢にどの様なものがあるのかご理解いただけなく、
  そもそも自身が治療のゴールに何を求めているのかもいつまでたってもハッキリしないというは困る。
  症状がないから治療の必要がない考えたり、痛くなってからで十分とか考える患者もいる。
  エスカレートすると、あれはイヤ、これはイヤ、でもああしろ、こうしろという話になるのだが、
  保険診療は保険診療のルール、保険外診療は医師の裁量に委ねられる部分が増加するものの医学的根拠を超えた
  治療を行うことはできず、上記2と絡んで複雑なことになる。
周囲がどう思おうとも、ちょんまげでもモヒカン刈でも個人の好きな髪型にできるのとは同じではない。
  明らかに大きな問題があるにも関わらず、症状がないから問題無いと勝手に考え、
  小さな問題の治療のみを希望する方もたまにおられるが、全身疾患でも同じような事が本当に言えるのか?
  患者に寄り添った治療をというと聞こえはいいが、医学的根拠のある治療を行わずに単に患者の言いなりになり、
  ご機嫌取りに終始するという歯科医も多いが、本当にそんなことでいいのですか?
  本当にそんな治療を希望されるのですか?
  私にはできかねる。意固地になっているというのとは全く次元の違う話。
  患者の意向に沿ういい先生を演じたいのか、そもそもそこまで突っ込んだ治療を行うだけの実力がないのか、
  これもまたプロフェッショナル意識に欠ける歯科医側の問題も大である。
  患者側も状況と治療内容を理解していないということ。
  勿論、実現可能、不可能は別にして、ご自身の治療に対する希望はどんどんお話して頂いて結構である。
  そのようなディスカッションの中から患者さんと一緒に最良の治療計画を組み立ててゆくのである。
  無理して行うとろくなことはない。
  
4・信頼関係の構築が困難な方。

  ハッキリ言ってルーズでいいかげんな人には到底治療不可能である。
  誰しも本当にうっかりする事はあるし、それは致し方ないことであるが、何度も何度も、
  毎回毎回予約の無断キャンセルなど問題外であり、このような輩が1%でも混じると他の99%の真面目な
  患者さんに本当に迷惑がかかる。
  治療継続困難と判断し、中止としたケースもある。
  また、理由もなく治療を勝手に中断、行き辛くなって他の歯科医院へと転々とし、
  いつまでたっても治らない患者もいるが、経験上、同じことの繰り返しであり話にならなく、
  国民みんなで支えあっている保険診療医療費のムダでもあるのでよく考えていただきたい。
  また、民法的には契約不履行で損害賠償の対象にもなろうが、そもそもそんな意識もないのだろう。
  常識を疑うような方もおられるが、社会生活において約束を守らない人など相手にされないし、したくもない、
  公私共、一切関わり合いたくない。
  このような治療態度の方は高度な治療を求めてはいけない。
予約ぶっちぎっても、しばらくすると何事もなかったように来院する患者もいるが、どういう神経をしているのか
  私の理解の範疇を超えており、正直関わり合いたくないというのが本心なので、予約制でない歯科医院で治療
  されることを強く勧告する。
  そのような患者でも、初診で行けば揉み手で歓迎してくれる医院も世の中には多くある。
  裏では、そして本音ではどういう対応されているか知らないが。
  近隣は別に無医村でもない、歯科医院などコンビニより多くある時代なので。  
  認識不足も多いが、「信頼関係」というのは患者が医師のことを信じるという一方通行なものではない。
  診療を著しく阻害し、他の真面目な患者さんに迷惑かけるような患者を排除することは応召義務違反にはならない。
  念のため。
  
5・ブラッシング状態が一定以上改善できない方。

  歯科治療における根本的問題。
  そもそも虫歯、歯周病の原因はココにある。
  どんな治療を行おうとも、ケアが悪ければ元の木阿弥である。
  ご自身による一定以上のセルフケアは必須であり、それ以上のことはプロフェッショナルクリーニングで
  カバーするので、達成不可能なレベルを求めているわけではない。

6・処置後のメインテナンスに最初から来る気が全く無い方。

  上記5と同じ理由。
  他医院でよくありがちな単に医院の都合、すなわち売上および1ヶ月あたりの来院患者の水増しのための定期健診、
  必要性のない方、そもそも定期健診の必要性を理解できない方には一切行わない。
  無論1〜9に該当する方も同様。
  何のための定期健診かよく分からずに、単に医院から1ヶ月に1回は来たほうがいいですよと言われ通院していた
  ものの、状況がどんどん悪化するケースを以前に本Blogでも紹介した。
  歯科治療は大なり小なり、口腔内に人工物を入れることで治療を行うのだから、メンテナンスフリーで未来永劫
  それらが機能し続けることなどありえないが、このあたりの理解も低い方が存在する。
  過去に他医院でコストをかけ、大がかりな治療をおこなったものの、その後放置状態で元の木阿弥という方が
  来院された場合、はたしてこの患者にさらに高度な治療を行うか否か判断に迷うことがあるし、事実、その後の
  メインテナンス脱落率は他と比較して少し高い。
  まあ、ご自分の事だから赤の他人がご自身以上に真剣には考えてはくれないですよ。
  
  
7・こちらの指示事項を順守しない方。

  指示事項を順守せず聞き流すのは個人の自由であるが、自己責任であるし、一切の責任は持てない。
  そのような患者と信頼関係も構築できない。
  治療が終わってもそれで終わりなのではなく、そこからがスタートである。
  長期に安定させるためには様々なことを行わなければならないが、残念ながら時間が経過すると
  いいかげんになってくる人もいるが、患者のプライベートに一々介入はできない。
  自分でどうでもいいと考えるのならのなら、それ以上に私はどいうでもいいし、自分の判断で勝手なことを行って
  問題出ても責任は一切持てない。
  例えば就寝時のナイトガード必須の指示を出しても、いいかげんになり、セラミックスのチッピングが
  起きるケースがある。
  口ではキチンと装着していると言われるが、そんな嘘は見ればすぐ分かる。
  こちらは初診時の歯牙の状況、プロビジョナルクラウンの摩耗状況から判断し、装着必要な方に指示
  出しているのであるのだが、簡単に考えているのだろう。 
  
  
8・その他全般的に見通しが甘く、治療を簡単に考えている方。

  何年、何十年とかけて悪くなったものが直ぐには治らないし、最新の治療をご希望なら
  ある程度のコスト意識も必要である。
  放置状態でにっちもさっちも行かない状態でインプラント治療希望で来院され、費用を聞かれてビックリ
  、全く想定外というような事もある。
  危篤状態の方を明日運動会に出られるようにしろと言われても不可能なのだが、案外このようなことを
  平気で言う方もおられる。特に年末に顕著。
歯科治療を簡単に考えている方も多いが、本当簡単な、ちょっとコンポジットレジン充填処置程度で終了できる
  くらいならともかく、虫歯、歯周病、咬合崩壊が複雑に絡み合った状態なら、治療に長期間かかるのは
  当たり前であるし、そのような状況をじっくり治療するのが当医院の治療理念でもあるのだから、
  適当な治療などできるはずもないし、する気もないが、当然患者の理解と協力は必須であるので、
  そのような意志のない方には治療不可能である。
  もっともそのような方はそもそも高度な治療する気も、治療行ってからもいい状態を維持してゆこうという気も
  希薄であるが。  
  見通しが甘い→放置→どうにもならなくなって受診→状況を説明されビックリ→大がかりな治療に移行するケース
  とそのまままた放置というケースにはっきり分かれるが、残念ながら元々の状況が悪い方ほど前述の通り
  メインテナンスの離脱率も若干高いので、やはり見通しが甘い楽観論が出て元の木阿弥ということになるのだろう。
  もし、そのような状況であるにも関わらず短期間に治療が終わったのなら、本質的な治療は何も行われていない
  という事だと思う。
  壊れたプラモデルの部品をもう一度ひっつける程度に考えている患者も多いが、問題発生には発生の要因、原因が
  必ずあるので、一つ一つ対応しなければならないのでそんな簡単な事ではないのですよ。
9・治療に際して正確な情報を伝えない方、治療歴、状況について平気で嘘をつく方。

  まともな治療はできない。
  問題発生には必ず原因が存在するのだが、そこを検査結果から推理し治療計画を立てる必要がある。
  また、重篤な疾患がある場合には全身状態下でそれらのコントロールなしに歯科治療はできない。
  プロ相手に嘘をつかれても、診察すればおおよその事は分ってしまうので、そのような方と信頼関係は築けないし、
  いいかげんなことばかり言って権利のみ主張されても困る。
  逆に言うなら、患者の嘘を見抜けないのならプロではないのだが。
  実際、以前、重篤な疾患があるのもかかわらずそれを隠して複雑な歯科治療を希望された方がおられたが、
  何かおかしい感じたので、何か全身疾患があるのではないか、何か服用している薬があるのではないかと聞き出した
  ものの正確な言うわけでもなかったので、さらにしつこく、相当強硬に問いただしたら案の定重篤な疾患に
  罹患していた。
  一応主治医に問い合わせたが、とてもとても希望されるような歯科治療が出来る状態ではなかった。
  患者のいう事を真に受けて治療開始していたら大変なことになったと思い、今考えてもゾッとする。
  患者自身、歯の治療なんてと簡単に考えているのだろうが。

10・インプラント治療を阻害する疾患等がある場合。

  ある意味、医学的に本当の意味での禁忌、治療要注意であり、
  これは患者さんご自身の責任とは言えない場合も多いのだが、正直に申告はしていただきたい。
  何とかしてあげたいと思うので、もし、最初から大がかりな歯科治療をご希望なら、
  まず全身的メディカルチェックを受かられた方がいいかもしれないし、持病がおありならまず主治医とご相談
  された方がよいかもしれない。
  持病がある、投薬中でもきちんとした医科的コントロール下で治療可能な場合も多いのでまずご相談を。
  
  次回に続く。