医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

2015.05.27インプラント症例

DSC_4119.JPG
術後6年。
右下インプラントは下顎管をぶち抜いて麻痺が起こり、大変な事になったというわけではない。
この方、元々この部分に他医院において20年くらい前に治療したセラミックブレードインプラントが入っていたのだが、治療後しばらくして噛むと痛みがあり、時々腫れたりもしたらしい。
再治療というのも怖かったとのことで、ズルズルそのままになっていたのだが、いよいよ動揺がひどくなり、その他の部分にも問題が続出でどうにもならなくなって来院された。
20年前、既にセラミックブレードインプラントは否定されていたにもかかわらず治療が行われていた事が驚きだった。
この辺りは患者さんの記憶も曖昧な部分があり、何とも言えないが。
まあ、よくも20年間我慢されたものである。
さて、この部分をどうするかの前に左上臼歯部が保存不可能なくらい虫歯が進行、その他部位も大きな問題を抱えていたので、患者さんと相談の上入れ歯を回避しインプラント治療行うこととなったのだが、骨が薄くサイナスリフト、骨移植の必要があり、術前にCT撮影を行った。

同部は通法通り行うとして右下部分への対応を考えたのだが、骨幅が異常に狭く、通常ならスプリットクレスト法や、ブロック骨移植など複雑な処置を行う必要があったのだが、できるだけ左上以上の大がかりな外科処置を避けたいとの患者さんの意向からCT像を色々分析すると、下顎管が歯槽頂直下からかなりズレた位置を走行しているのが確認できたため、今回はそのまま深めの埋入とすることにした。
8mm位深く埋入すると骨幅が7mmほど確保できたため、直径4mmのインプラントを埋入する計画をたて、舌側骨に2mmの余裕をもたせ、頬側骨は1mm程度しか余裕が無いため、少しスプリットクレスト行い、頬側部ならびにカウンターシンク部分に採取自家骨と少量のバイオス、上部に吸収性メンブレンを置いただけで、治療そのものは非常に簡単であった。
もちろん麻痺症状などは全くない。
サイナスリフト部も問題なし。
一部問題のない歯牙は根管治療、ダウエルコアのやり直しは行っておらず、補綴物のみ再製作している。
ということで、何でもかんでも治療を複雑にすれば良いということはなく、Simple is the bestということ。


ちなみにこの患者さん、当医院にお越しになる前に数件の他医院に相談に行かれたらしいのだが、上顎洞の骨の薄さ、下顎骨の薄さを理由に治療できないと言われたらしい。
どの歯科医院も「CT完備、ガイデッドサージェリー可能、骨がないからインプラントできないと言われた方、当医院にご相談下さい。」と大きくWebなどで宣伝しているのにである。
大きく宣伝している割にはWebにおいて治療例紹介には簡単なケースしか掲載されていないので、どこまで本当か甚だ
怪しいが。
どの程度なら治療可能なのか一度お聞きしてみたいものである。
上顎サイナスリフトは側方からのアプローチにより行い、バイオスのみの移植としてある。