医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

2015.03.09根管治療について その2


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マイクロスコープ下で根管充填完了。
根管先端まできっちり充填さてている。
本ケースはオーソドックスな機材を使用している。
ちょっと歯内療法を勉強しだすと様々な機材が存在し、使ってみたくなる先生も多いのだが、マイクロスコープ、Ni-Tiエンジンファイル、オブチュラ等の熱可塑性根管充填材のいい加減な使用方法による術後疼痛、さらにはどうにもならなくなって抜歯に至ってしまうケースもあるみたいだが。
上顎洞に近接しているが、不快症状は全くない。
下は術前、その差がハッキリ分かる。
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さて、保険請求上、前歯は1根管、上顎小臼歯は2根管、下顎小臼歯は1根管、上下大臼歯は3根管として考えられているのだが、かなりの頻度でこのルールから外れる。
残念ながらマイクロスコープ、顕微鏡下処置用専用機材(これが猛烈に高価。器具1本数万円はザラ。根管治療用、歯周外科用を複数準備しなければ意味が無い。Web siteにマイクロスコープ完備とかあるが、単にマイクロスコープを装備しているというのはオブジェでしか無い。)装備し、それにここが大事であるが、必要なトレーニングを受けていないと見つけ出したり、治療することは困難であるのだが、現実的には歯科医院へのマイクロスコープの普及率は10%未満であり、ましてや専門的トレーニングを受けた歯科医となるとさらに寂しい状況となる。
この症例も患者さんが言われるに前医はマイクロスコープによる治療をしていたようだが、全く何の役にも立っておらず、残念ながら対患者パフォーマンスに過ぎなかったのだと思う。
本当にマイクロスコープが対患者パフォーマンス用オブジェになってるケースが多いのだが、この様な理由がある。
実際、本当にマイクロスコープを使用しなければ治療できないケースはごくわずかであり、私も通常はヘッドルーペを使用しており、マイクロスコープは複雑な根管治療、精密な歯周外科処置にのみ使用することが多い。
友人の脳外科医の話を聞くと、彼らは肉眼で確認困難な神経、血管系の縫合、腫瘍組織との境界確認のため使用しているのだが、歯科医がそこまでのオーダーの治療を要求されることは少ない。
ましてや歯周外科処置にマイクロスコープを使用しました、でも縫合糸は4-0使いましたというのはお笑いでしかない。
マイクロスコープ下の抜髄処置など1時間くらいはかかるのだが、それを保険請求できるわけでもないので、上部構造が保険外診療となる場合、歯列保持でのキートゥースとなる場合以外「それなり」の治療にならざるをえないことを一方的に責めることはできないが、この辺りは、問題発生すれば再治療すれば良いという甘えめいたものを否定はできない。
実際のところ当医院での再治療率は1%以下で非常に低いのだが。
アメリカだと歯内療法専門医による大臼歯部根管治療は$500〜1000であるが、日本の保険診療では1/10である。