医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

2014.12.25インプラント症例

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術後14年、メインテナンス中。
ITIインプラントから移行しだした時期。
使用インプラントはBiomet 3i、スレッド上部が研磨されたハイブリッドタイプ。
現在は発売中止。
当時、多くのエクスターナルインプラントはアバットメント接合後時間が経過すると、インプラントフィクスチャー
の1〜2スレッドまで骨が下がる事が半ば当たり前のように考えられていた。
その理由について海外で色々な研究がなされていて、ボーンロスにおいてはインターナルインプラントの方がアドバンテージあり、エクスターナルインプラントの場合プラットフォームスイッチングという手法が有効であるというデータが出揃いつつあり、私も臨床応用し出した時期でもある。
本症例のインプラントはどうせボーンロスが起こって骨のレベルが下がるのなら、その部分を見越してツルツルに研磨した方がいいというコンセプトのインプラントであった。
インプラントメーカーから使用を依頼され、本症例に使用した。
私の今日的臨床基準では、インプラントー天然歯間、インプラント同士間距離が短いし、そもそも埋入インプラント経が太すぎるのだが、以前の症例同様、明確なプロトコルがなく、試行錯誤していた時期ではある。
当時、ぽつぽつ出てきたエビデンスから、私は骨が最初から下がることを前提としていることに強く異議を唱えたが、そのように考える歯科医も世界には存在し、結局発売中止となった。
なぜなら、仮に11.5mmのこのインプラントを埋入しても1〜2mmのボーンロスが起きれば、それは最初からボーンロスが起きない9.5〜10.5mmのインプラントを埋入したことと同等であり、本症例のように十分な骨が存在する場合はともかく、骨の移植、GBRを行う、行わないというボーダーケースにおいては死活問題であるからだ。
プラットフォームスイッチングは行っていないが、様々な工夫を加え、術後14年経過しても骨のレベルは全く下がらず維持できている。
結局、この後Biomet 3iもインターナルタイプのインプラントも発売することになり、私もそちらを使用することになるのだが、エクスターナルタイプを使用していた数年間、数百本のインプラントフィクスチャーもリコール時にフォローしているが大きな問題は出ていない.
ただ、手前の天然歯にマイクロムーブが起きている。
術後2〜3年で起こり、それ以降の移動はないため、そのまま経過観察中。