医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

2014.11.14審美治療の流れの一例

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初診時の状態。┗4部審美、機能障害。
不適合かつ品質の悪い補綴物が入っていたため、2次的な虫歯、金属よりのイオン流出と思われる真っ黒な着色。
犬歯はオープンバイトであるが、顎関節などの問題はないため、患者さんとの相談の上、今回は矯治療等は行なわない。
本歯牙をこのままガイディングティースにすべきか否かは、プロヴィジョナルクラウン装着後経過観察とする。
場合によってはナイトガードにて対応も考える。
機能が伴わない審美治療などありえないのだが、現実的には長期的に良好な予後が望める状況を見極めて対応しなければならない。
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Day1/(初診時)補綴物除去後。
   簡単な仮歯を口腔内で即席に作製したところ。
   元々の補綴物より適合精度は高い。
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Day2/Day1にあらためて型をとったプロヴィジョナルクラウンを装着。
色調が白いが、ホワイトニングを行うため、最終シェードに合わせて作製。
歯周治療も同時開始。今回は軽度な歯周病のためルートプレーニングを主に。一部歯肉整形。
プロヴィジョナルクラウンのリマージネーションはまだ厳格に行っていない。
ホワイトニング開始。
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Day3/ホワイトニング終了。前後歯牙との色調に違和感がなくなる。
A3.5→A2、プロヴィジョナルクラウンの最終形成を行い、マージン、形態、咬合調整行い、最終補綴物に近い状態にもってゆく。

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Day4/ 咬合、歯周環境、その他に問題のないことを確認し、型とり。
   最終形成後。
   副歯型数個、歯列模型、バイト、など、単に一個型とって終わりというものではない。

Day5/今回はオールセラミックスクラウンにて治療。
  
Day6/ CAD/CAM削りだしによるジルコニアコーピングの試適、適合精度チェック。
   ジルコニアコーピングも色調が数種類あり、築成するセラミックを鑑みて選択。
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Day7/表面にセラミックスを築成したところ。ビスケットトライアル(素焼きの状態)なので艶はない。
   セラミックが単一にジルコニアコーピングに築成されているわけではなく、オペーク、デンティン、エナメル、インサイザル・・・ 何層にも分かれている。
咬合、形態のチエック。
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Day8/グレーズ完成、仮着。自宅で色調などのチェックをしてもらう。今の段階であると調整可能である。

Day9/仮着中問題ないことを確認、DSC_3198.JPG
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色調、形態も問題ないことを患者さんに確認できたので最終的なセメントで接着、基本は終了。
プロヴィジョナルクラウンにて強いブラキシズムがないことは確認した。
ガイディングティース(┗5も関与)にしても問題ないことも確認したので、矯正は行わずこのままフォローとする。

もっと大がかりな補綴治療の場合は、ろう着、リマウントなどさらにプロセスが増える。
基本的に作業には誤差はあるものと考え、色々なプロセスを経て、その誤差解消するために煮詰めてゆく。

・・・・という風に、このような治療の場合、型とって直ぐ装着ということは無理であるし、前述の通り、
様々なことを見極めて妥協案(歯科医学的に譲れない一線はあるが、その部分の将来的な予後予測とそれに対する補償オプションを持ち合わせていれば問題無いと思う。患者さんへのしっかりした説明とご理解は必須。)を提案、治療を行うことも必要である。
何かしら治療を小分けにして回数増やし儲けているというとお勘ぐりの方もおられるのかもしれないし、実際、そのような治療を行う歯科医もいるのかもしれないが、少なくとも私の治療では以上のような流れを一つ一つ着実に積み重ねていかねばならず、致し方ない。
ご理解いただきたい。

このような治療の流れは解っているけど行わない部分と、解らないからできないというのは全く違う。
全く異質のものである。