医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

2014.11.07咬合のはなし2

下顎骨は単にぶら下がっているだけなのであり、ゆっくる噛みこんでゆくと一部の歯牙が先に当たり、そこから更に噛みこんでゆくと、ズリッとかみ合わせがずれることがある。
細かい話はともかく、ゆっくる噛みこんでゆくと一部の歯牙が先に当たる直前の位置をCRバイト(Centric Relation)、先に当たる事を早期接触、そこから更に噛みこんでほとんど全ての歯牙が接触した状態をCOバイト(Centric Occulusion)といい、CR=COとなるのが理想的であり治療の目標となる。
ざっくり言うとCRは軟組織で規定され、COは歯牙によって規定されるため、CR≫COとなるが、筋肉、関節組織は緊張下におかれて偏位していることも多いので、まずストレスフリーの状態にしなければ評価できない。
残念ながらCR=COを確立させるのは、全歯牙を触る必要なことが多く、それを実現させようと思うと矯正治療を行ったり、大がかりな補綴治療が必要となることも多いので、臨床的にはある程度の許容量内にあればよしとすることが多く、現実的にはCR≠COであっても、顎関節などに問題なければそのまま治療を行うことのほうが多い。
また、歯牙が欠損してそのままであると、どうしても歯のある方で咀嚼するため、ズレが出ているケースが多い。
ある患者さんの例。
DSC_3619.JPG
CRでは前歯に隙間が開いている。
DSC_3615.JPG
COでは隙間がない。
強度の顎関節症発症していたため、マウスピース治療を先に行ったところ、症状が劇的に改善したため、患者さんと相談のうえ、矯正治療を行うこととなった。
過去に同じような症例で、矯正治療は受け入れられなかったものの、上顎全体に補綴治療で対応したケースもあるが、
今までの臨床経験上、一番ビビったケースでもある。
再三再四、削ることのリスクを説明し、矯正治療をお薦めしたのだが。
上顎全ての歯牙を削ってしまうのだから、全く後戻りできず、治療しましたが治りませんでしたでは即、訴訟となるであろうから。
もちろん、いきなり削ることはせず、色々、マウスピースや接着性のプロヴィジョナルクラウンで経過は見てからの判断であるが。その後症状再発もなく、その方も定期的メインテナンス来られている。