医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

2014.11.22インプラント1回法と2回法

インプラントを顎骨に埋入するのに1回法と2回法がある。
1回法はインプラント植立時に歯肉外にヒーリングキャップ(フタ)を露出させ、そのままの状態でインテグレーション期間を待機する方法で、手術回数が減らせることができ簡便である。
インテグレーションとはインプラントフィクスチャーと骨がひっつくことをいい(厳密には違う。骨に包み込まれてガチガチになるというイメージの方が近い。)、骨折した場合、骨どうしがひっつくことと理屈は一緒で、それまでギブスなどをして固定し安静が必要なことは全く同じである。
歯科インプラントにおいて標準的かつ簡単な埋入の場合、上顎3〜5ヶ月、下顎2〜3ヶ月の待機期間が必要だが、
骨の質によって大きく変わり、骨の再生、移植を伴うとさらにプラス6〜12ヶ月くらい必要なケースもある。
インプラント埋入後、ヒーリーングアバットメントが口腔内に最初から露出する。
しかしながら骨の状態が悪くメンブレン等使用した、ある程度以上の規模の骨の移植、再生治療を同時に行わなければならないような場合は応用できないことが多い。
インプラント埋入直後から細菌が多い口腔内に露出するため、感染の確率が高くなるとの報告もあるのだが、逆に全く問題無いとの報告もあり、当医院においての1回法ITIインプラントはなんの問題無く経過しているので、問題ないように思うのだが、患者さん自身が口腔内に露出したヒーリングキャップが気になって舌、指で触ったりすることによるリスク上昇も考慮しなければならない。
1回法専用のインプラントもある。
2回法はインプラント埋入時、いったん歯肉を完全に縫合してしまうため外部からは全く見えなくなる。
したがって、インテグレーションには期間中の感染の確率がグッと下がり、特に移植した骨、骨再生させるための色々な「仕掛け」を安定させることが可能であり、当医院では複雑なケースが多いため、2回法で行うことが圧倒的に多い。
インプラント埋入の色々な条件が整わないと、中々1回法を実行することは難しく、ケースバイケースで見極めて使い分ける必要がある。
何でもかんでも1回法でしかインプラント治療を行わない歯科医がいるとしたら、それはeasy caseのみの治療を行っているとも考えられるが、それではたしてインプラント治療を自信を持って行っていますと言い切れるかは?である。
インテグレーション獲得後は表面の歯肉に穴を開け、高さの違うヒーリングキャップを装着し、さらに治癒を待つ。
写真は2回法、2回目のオペ時、ヒーリングキャップを装着した時の写真。
DSC_3778.JPG
歯牙が欠損すると顎堤の高さが減少し、それに伴い付着歯肉も減少することも多いのだが、この付着歯肉がないと、
インプラントを守ることができないため、本ケースは同時に顎堤、付着歯肉の増大術も行っている。
(これも色々な方法があり、本ケースは小規模のため骨膜を露出したままになっているが、露出した骨膜にこの後吸収性のメンブレンを吸収性の縫合糸で設置したり、歯肉移植、パックを行ったりすることもある。
歯も付着歯肉が存在しないと歯周病に罹患しやすくなるため、インプラントとは別にこの様な処置を行わなければならないケースも多い。これは波、高潮から守るための防波堤と理屈は全く一緒。)
以前も記したが、単純にインプラント埋入すればそれで終わりではない。
周辺環境も整えていかないと長期の安定は無理であり、残念ながら何も考えていないケースに多数遭遇する。