医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

2014.10.17ろう着その1

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これは何事なのか?
残念ながら、この様な治療を受けられた方ははほとんどおられないであろう。
残念ながら、この様な治療を行っている歯科医もほとんどいないであろう。
これは「ろう着」というプロセスであり、「歯周補綴」のテクニックのひとつであり、保健診療においても私には特に珍しいことではない。
歯は、歯根膜という軟組織を介在して顎骨に埋まっているので、健康な状態であっても微細な動揺が存在する。
ましてや歯周病などに罹患した歯牙の動揺は大きくなる。
また、下顎骨も口を閉じた時、大きく開いた時で「たわみ」が出てその幅などに変化が出る。
したがってどのように精密に型とりしたところで(歯周マネージメントもできず、歯牙の形成もあやふやなのに高精度シリコン印象(型とり)にこだわる先生も多いけれど。)、歯牙の位置関係に大なり小なり狂いが生じる。
そこで必要があって2本以上の歯牙を補綴物で連結する必要がある場合、まず、1本1本バラバラに作製し(本症例は
PFMCrなのでメタルフレーム部)、口腔内でインデックスを採取し、技工士さんにろう着、すなわち金属同士を接合してもらう。
歯が1本もないようなインプラント治療など大規模な場合、レーザーろう着を用いたりもする。
赤い物質は、各々のメタルを仮止めするためのレジンです。
ろう着については軽く本1冊位書けるので省略します。
本症例は小臼歯部との連結も必要であったので、Key&Key wayを用いており、以降の臼歯部は左右ともインプラント支持となっている。
Key&Key wayについても軽く本1冊位書けるので、これも今回は省略します。
さらに言うならここに至るまでにも、歯列模型の印象、副歯型の印象、フェイスボウトランス、リマウント・・・・・
と様々なプロセスを経る必要あるが、これもまたの機会に。
少なくとも、大きな補綴物を型とりしてその次には出来上がる・・・・・当医院では基本的にありえない。
歯周処置、歯周補綴を行わず、何でもかんでも抜歯してインプラント・・・・・最近そのような治療が横行しているが・・・・・、確かに、予後不明な歯牙を保存するより積極的に抜歯した方が良いケースも多々あるのだが、
どうなんだろう?
したがって、今流行りのオールセラミックスクラウンーブリッジは、ろう着という操作ができないので、本来は連結を必要とするようなケースには不向きである。
過去にご紹介したオールセラミックスブリッジケースは精度を出すのに苦労したが(もちろん、精度のこと云々は患者さんに全く分からないことなのであるが、それ故余計にいい加減なことはできない。)、稀とお考えいただきたい。
ちなみにろう着を行わずに治療を行っている歯科医院はどうしているのか?
他医院の事は知らないが・・・・・おそらく最初から誤差を無視、というか許容範囲が大きすぎる?、セット時に歯牙をさらに削る、あらかじめ緩く作製してセメントで隙間を埋める・・・・・という事か?
いずれにしてもぴったりフィットとはほど遠いと思う。
もっと基本的なことを踏まえてもらいたいと強く思います。