医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

2014.07.17インプラント その6

他医院で骨がないのでインプラントできないと言われたものの、色々なルートをたぐって来院されるケースも多い。
そのあたりはHPに記載しているが、できるできないは歯科医の問題であり、自分ができないからできないというのはどうかと思う。
だってその時点で話を鵜呑みにした患者さんはのぞみゼロ、選択肢ゼロということにもなりかねないから。
I can not と It is impossible は違う。雲泥の差だ。
もちろん私にもできない治療は存在するし、できない事は重々心得ているつもりだ。
自分の限界をよく理解して、自分では対応不可能な場合、誰に診察してもらえるか体制を整えておくことは非常に大事である。
口腔外科を標榜しているものの、例えば口腔がん、顎骨骨折などは私にはどうすることもできない。
最近、この連携、提携をちょっとかっこ良く?インターディシプナリーというが、この言葉を丸投げと勘違いしている歯科医が多いのは残念だ。
自分はインプラント出来ないからインプラントできる歯科医院に投げたり、インプラントできる歯科医に来てもらったりするケースもあるのだが、そのようなことで、後の補綴処置、フォローができるのかどうか非常に疑問だ。

骨がないケースは、骨の移植をするのだが、自分の骨、βTCP、他家骨(牛の骨から精製されたもの)
を単独、多くの場合は混合して使用する。
ちなみにDFDBといって人の死体から採取した骨組織を精製した製品もあるが、私は全く使用しない。
本来、自分自身の骨が一番で、これに加えて骨の成長因子を採取した血液から分離して行う方法がいいとされるが、画期的に臨床成績に大差があるわけではない。
日本ではこの辺り、欧米での研究データを盲信する傾向にあるが、私には疑問だ。
自分自身の顎骨から採取できる量には限界があり、欧米人など骨の厚いケースはオトガイ部からアウディデザイン(車のアウディのマーク)状に骨を採取するのだが、痛み、腫れ、一時的な麻痺などの問題も多く、日本人はそもそも骨の厚みが薄いので、あまり行わない。
そこで現実的解決として、少々治療時間がかかっても、痛みの少ない、自分の骨、他家骨を混同して使用する方法をとることが多い。
方法は上顎骨の場合頬側面もしくは上面(ラテラルアプローチor上面)から、または上面から(ソケットリフト)があるが、残念ながらソケットリフトは術式は比較的簡単なので初心者、いや中級者レベルなら対応可能だが、骨が高度に吸収したケースでは治療困難である場合が多く、最初に書いたような状況になることもある。
ソケットリフトでは困難な場合、側面からもしくは上面からのアプローチとなるのだが、これは高度な技術が必要だ。
オペに慣れていれば、今ひとつ術野の見極めが困難なソケットリフトより、側面もしくは上面からのアプローチからの方が安心感あるとも言える。