医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

2014.07.05インプラント その1

私は平成元年、歯科大学卒業、歯科医師免許取得で、ちょうどインプラントの黎明期、発展期、そして今をリアルタイムに経験してきた。
このことは非常に大事である。
20年くらい前より色々失敗症例を目のあたりにし、ようやく安定した治療成績が期待できると思いインプラント治療を開始したが、新しいものに飛びつかない診療姿勢はこの時身につけられたと思う。

世界中にインプラントメーカーは200社以上、未だかつて聞いたこともないメーカーもあるが、
世界的に通用するのは20社くらいか。日本において、厚労省認可されているものは20数社。
一部日本のメーカーも頑張っているが、やはり世界的な評価となると海外の製品にアドバンテージがある。
オリジンはスウェーデン。
今、インプラントメーカー間の合併、吸収が盛んで、いずれは大きなメーカー数社に収束されるだろう。
20年位前から研究が進み、マイナーチェンジを繰り返してきた現在、インプラントはチタニウム製のネジ状の本体の表面に、各社のノウハウで表面処理されたものが主流であり、世界的な評価を得ているメーカーのものであれば、メーカー自身の能書きほどその性能に大差ない。
ただし、コンピューターシミュレーションなどの周辺機器、システムには大きな差がある。
その辺りは後でどうとでもなるが。
しかしながら、残りの名もない一部メーカーが問題である。
中国製の3000円のインプラントというものも存在する。
パッと見た目、コーナンで売ってるネジのほうが精度が良さそうですが!?
(現在、多くの製品が中国製だから中国製は全てダメと言ってるわけじゃないですよ。)

日本のメーカーでも、町工場のおっちゃんが作ってるようなものあるから注意が必要だ。
ネットなどで異様に安価なインプラント治療を広告しているのは怪しい。
常識的に考えて、インプラント治療はインプラント本体のみで治療できる訳ではなく、通常、インプラント体+アバットメントという土台部分とそれを固定するスクリュー+上部構造(かぶせの部分)で構成され、いくつものパート、パーツに分かれ、それぞれが、それなりにコストがかかる。
場合によってはさらに複雑な構造をとる場合もあるので、異様なコストダウンは不可能なのである。
安さが全てという方はご自由に治療を受けられたらよいが。

???なインプラントを他の医院で治療したものの、予後悪くて相談にこられたケースで見たことが何回かある。
インプラント体はもちろん、殆どの場合顎の骨の中に入っているので、外からは分からない。
そこで、レントゲン写真を撮影し、カタログや書物でメーカーを特定するのだが、全く分からない場合や、有名メーカーのものとよく似ているが、微妙に形態が違う(要はパチもん)ケースにも遭遇した。
インプラントメーカー間にはパーツ、工具の互換性が全くないので、自分の医院で使用しているメーカー以外の対応は事実上不可能である。
無論私はそのようなパチもん、バッタもんは全く使用していない。

数年前、NHKのクローズアップ現代でインプラント治療トラブルが取り上げられ、それに端を発して日本中でインプラント治療バッシングが始まった。
私の医院では全く何の影響もなかったし、実情が少しでも伝わって良かったとさえ思った。
まだまだ表に出ない怖い話はたくさんあるのだけれど。
それを契機に日本においてのインプラント治療自体が約半分くらいまで落ち込み、今も低迷している。
要は、それだけ無茶苦茶な治療を行ってきた歯科医がいて、その部分が吹き飛んだということであり、今が正常な(???な部分は多分にあるが)状態に近づいているだけだと思うのだが、それを言うと一部歯科医に怒られる。
まあ、偏狭な人が多いからね。