医療法人一元会 松井山手西川歯科医院 ペリオ・インプラントクリニック インビザライン矯正

2014.06.06患者さん目線?

最近よく聞く言葉である。
患者さんサイドに立っての診療という意味において確かに一理あるのだが、失礼ながらそこはプロとアマチュア、どこまでいってもその深い溝が埋まるとは思えない。
表面上ではともかく、友人、知人の同業者、内科、外科などの医師において本当にそのように考えている人は少なくとも私の周囲には誰もいない。
日々診療していると、長期間放置ケースで、自分自身の状況をよく理解もせず、治療に対してあれは嫌、これは嫌、あーしろ、こーしろという状況に遭遇する。稀ではあるが。
こういう方に限ってネットや友人、知人から情報を仕入れて頭でっかち、バイアスかかりまくりなのであるが、その内容はお粗末である事が多く、情報の海で、真理という大陸にたどり着けずに溺れてしまっていると言わざるをえない。
さらに、ネットに書かれていることは全て正しいというスタンスも共通する。
わたしはその辺りエビデンスベースでハッキリとお話し、状況によっては治療をお断りすることもある。 アメリカではAgainst Medical Advice というのがあって、そのフォームにサインすればそれで終わりで、それ以降は自己責任である意味楽である。
患者さんの意識が高くなり、権利、意思を尊重することは大事であるが、エビデンスベースの話ではなく、また、医療機関側の能力に問題ないにもかかわらず、根拠なきそれらを振り回すのはいかがなものかと思う。
ちなみに、あくまでも患者さん自身が自分の主観、考えに沿うような医師を求めまわる事をドクターショッピング、青い鳥症候群という。
やはり信頼関係というものは大事ですから。
信頼関係というのは、医師が患者さん側も信頼するということは全く語られない。
やはり、根底には虫歯では死なないという考えがあるのだろう。
これに関しては最近の疫学調査で色々あるので、また別の機会に。
このような人々が、全身疾患、それも生死に関わるような事態に面しても、同じスタンスでいられるのかは疑問である。
様々な条件、事情がある中、言い方は悪いがお茶を濁さざるをえない場合もあり、ケースバイケースなのであるから全否定はしないが、ただひたすら「患者さん目線」を盾に、医学的に明らかな間違いな、患者の言いなり診療を行う医師がいるのは残念である。
人気者になろうとそういう路線のみを突き進むのは、私の基準からすると同じ歯科医としてさらに残念であり、医療でも何でもない。